紫斑は、赤血球が血管外に漏れ出して起こる、文字通り斑状型に紫色に変色する皮膚疾患です。出血によって生じた疾患であり、まずはその原因を考えていくことが先決です。
血小板や凝固因子の異常、血管組織が弱い場合、血管炎などが原因で出血をしていることが検査で確認され、その対応が可能な場合には、もちろん病院での治療を優先させましょう。大きな病気を予防するためにも重要です。
問題は特発性血小板減少性紫斑病や、老人性紫斑など、原因が良く分かっておらず、対処法がしっかりと確立されていないタイプの紫斑です。さらにはいわゆる原因不明とされた場合も問題となります。
そのような時に漢方的な観点から、お薬の服用を検討してみてもいいでしょう。その他、いわゆる慢性化したような状況でも摘要の対象となります。
さて紫斑の漢方的な要因ですが、出血をしているという観点から考え、「脾不統血(ひふとうけつ)」という状態の有無を考慮します。これは「脾」すなわち消化器系統の不良により「血」の統率(コントロール)が上手く出来ていな状態を指します。よって「血」の漏れが起こり、出血すると考えます。
一般的には不正出血と言えば、大人の女性の性器からの出血を指す場合が多いのですが、子供や高齢者であれば皮膚に生じ、紫斑となることもあると思われます。
この「脾不統血」に対応する漢方薬としては「帰脾湯(きひとう)」が挙げられます。「帰脾湯」は「脾」すなわちお腹の状態を高めて、結果として出血を防止するとされます。
しかし「帰脾湯」に限らず、「脾」の状態を高めるための漢方を用いる場合もありますし、「田七人参」などの出血を抑えるとされる漢方を使う場合もあるでしょう。その方の体質判断をしっかりと見極めてお薬の服用を考えていくことが重要なのです。
皮膚の病気なのに胃腸のケアを考える点がユニークですが、それほど胃腸は体にとって大事な部分と言うことです。養生としてもお腹を労わって、生ものや脂っこいもの、冷たいものは極力控えるようにすると良いと思います。逆にお米や根菜類はしっかりと摂りましょう。
また子供の場合には胃腸が未発達であるために、結果として紫斑が起こっているケースがあると推測されます。よって、年齢が進めば、胃腸が丈夫となり自然と治っていく可能性もありますが、当面の症状緩和に漢方薬を使っていっても良いでしょう。
紫斑と漢方
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