皮膚病でお困りの方の食事を考える時、中医学の理論でアドバイスを厳密にしていくと、あれもだめこれもだめとなりがちです。特に食養生を重視する厳しい漢方の先生は、本当にたくさんの食材を挙げて「これらは摂ってはいけませんよ。そうしなければ漢方薬をいくら飲んでも治りませんよ」と伝えることがあります。それを聞いたあるお客様は「それでは私は何を食べればいいのでしょう?」と質問されていました。
これには様々な意見があると思います。本当に皮膚病が辛い状況で、どんなことをしてでも治したいと思う方は、指示通りに食事の制限をするでしょう。
しかしながら、食事というのは人間が生きていくうえでの楽しみの一つであり、幸せでもあります。例えば、一粒のカプセルを摂れば、栄養的にも健康的にもパーフェクトというような商品が発明されたとして、それで人間的に幸せでしょうか?そこまで極端ではなくとも、やはりある程度は食事を楽しみたいですよね。そうでなければ逆に大きなストレスで病気になってしまうことさえ懸念されます。
確かに皮膚の状態が悪化しやすいとされる食材は存在します。しかしそれをすべて避けるのは無理であると感じます。皮膚にあまり良くない食材は摂りすぎないように注意する、という程度が、一番続けやすく、精神的にもストレスがかからずに良いのではないでしょうか。
ということで、今回は皮膚にあまり良くないとされる食材を挙げますが、絶対に食べてはいけないとは私は思いません。しかし中医学的には「発散」作用がある食材を「発物」と呼び、皮膚に影響を与えやすいと解釈されています。その点を覚えておいても損はないと思いますよ。
★肉類、特に羊肉
牛肉は体を温める力が強く、皮膚病を悪化させやすいとされます。特に皮膚病の方は夏場は食べない方が良いかもしれません。羊肉はさらに温める力が強い性質を持ちます。
★ニンニク、こしょう、とうがらし
やはり温める力がある食材です。ちなみにキムチも食べるべきではないでしょう。
★えび、かに
アレルギーを起こしやすいとされるエビやカニ類も「発風」と呼ばれ、痒みにつながりやすいとされます。
★お酒
やはり体を温める要素と、「発湿」の性質があるため、特にじゅくじゅくした皮膚病の方は要注意です。
★ネギ、ニラ
「発熱」のグループに入りますので、皮膚にはあまり良くないとされます。
★豆類
「気」の停滞を生むとされます。ちなみにソバも同じような作用があると定義されます。
★きのこ
食べ過ぎると「風」を生みやすいとされます。「風」は痒みにつながる可能性があります。
★卵
温める作用と「湿」も生み出す性質を持っているとされます。
その他、タケノコも注意すべき食材の一つです。また、魚もダメという先生もいらっしゃいます。
原則として現代の常識として、アレルギーの原因になりそうな食材は引っかかることが多いように感じます。やはり体に刺激を与えやすい食材は控えめにした方が良いのでしょう。
とはいえ、最初に申し上げた通り、知識として頭に入れつつ、無理のないような食生活を楽しむようにして下さいね。
皮膚病の方は食べるものがない?
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「保湿を考える」