セルライト漢方.jpg最近よく聞かれる言葉としてセルライトがあります。医学用語ではなく、10年ほど前から新たに広まった、美容に関する業界やメディアで使用されている言葉です。お腹やお尻にある肌の凹凸なのですが、なかなか言葉では説明しにくい症状ではあります。
とはいえ写真を見ると、特に女性はお風呂などで見た経験を持つ皮膚の変化なので「これがセルライトか」とすぐに納得することでしょう。もちろん今では女性誌などでもセルライトが話題になることが多いので、知っている方が大半だと思います。
昔から「あの皮膚のようになりたくないなあ」とか「自分にできたこの皮膚のゴツゴツ、いやだなあ」と思っていたところに「セルライト」という言葉が入ってきてエステなどでの対処法が紹介されると、「そうかセルライトというのか」と多くの女性が注目したというところが実際でしょう。
ただしセルライト自体は特別な脂肪物質ではなく、元からある皮下脂肪が変化したものという医学的見解が出てきており、もちろん病気とはいえません。とは言うものの女性にとっては気になる皮膚の変化であることには間違いありませんので、その対策は考えていくべきと思います。かといっても、あまりにセルライトにこだわり過ぎてしまわないようにしたいところです。
さて以前「皮膚のたるみ防止に漢方を」というコラムでも述べましたが、セルライトもたるみの一種であると私は考えます。よってたるみの対処法と似た側面がありますが、今回は少しセルライトに絞って対策を考えてみましょう。
まずその真偽はともかく、セルライトが脂肪や不要物の塊とも言われている点に注目してみます。これは漢方的にはまさしく「痰湿」であり、不要な水分や塊の蓄積が原因と捉えることが出来ます。よって「痰湿」対策=セルライト対策として、まず第一に考えるべきであることは間違いありません。
「痰湿」体質である方は、体が重く、食べ過ぎや飲み過ぎもしくは胃腸が弱い傾向の方に多いでしょう。「痰湿」を取り除くためには「温胆湯(うんたんとう)」や「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」などの漢方が考えられます。
さらにセルライトの場合には「お血」が関与しているケースも多いと思っています。「お血」とは血行不良状態を指しますが、血液の流れの低下によって「痰湿」が溜まることも多く、また皮膚のガサガサは「お血」との関連性が深いと言われていますので、でこぼこが特徴のセルライトも「お血」対策によって改善の可能性があると考えます。
「お血」体質の場合には肩こりや各種痛みも生じているケースが多いでしょう。「お血」改善には「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの漢方薬が考えられます。
その他、「気」すなわちエネルギー不足のケースなどもセルライトの要因の一つになっていると考えます。いずれにしても、皮膚の実際の状態や、中医学的な体質を見極めての対処が重要です。
セルライト対策に王道はありません。宣伝文句としての「セルライト除去」などを信用し過ぎずに、体全体のケアを考えてみると良いと思います。それがセルライトだけでなく、体全体の美肌にもつながっていきますよ。そしてセルライトは時間の経過とともに取れにくくなってきますので、早めの対策を心掛けてみて下さいね。