五行草は「馬歯莧(ばしけん)」「スベリヒユ」とも呼ばれ、日本でも自生している植物です。雑草とされますが、薬用植物なのですよ。葉が青く、茎が赤く、花は黄色、根は白くて、タネは黒く、中医学で云う五行説の五色と同じことから、五行草と云う名で呼ばれるようになったそうです。
五行草は「寒性」の性質を持ち、「湿」を除く作用もあると考えます。効能としては「涼血治痢」が規定され、すなわち細菌性、出血性の下痢を治療、予防するとされます。天然の抗菌剤と言えるのかもしれません。
またその抗菌、殺菌作用を期待して、百日咳に用いたり、肺炎や気管支炎にも応用できます。さらには泌尿器系の症状である膀胱炎にもよく効きます。
さて皮膚病に対してですが、「解毒消腫」の働きがありますので、湿疹、化膿に内服して用いられます。一方で外用としても有効で、民間療法としては毒虫やハチにさされたときに用いられてきたそうです。
中医学的には「湿熱」が原因の皮膚病全般に用いることが出来ると考えます。紅く、ジュクジュクしているようなアトピー性皮膚炎、汗疱などに合うでしょう。また、コットンなどに湿らせた薬液を患部に湿布のように貼り付けて10分程度置くと、痒みや赤みが和らぎます。内服にも外用にもよいということで、使い勝手のいい生薬ですね。
なお市販の「五行草茶」は、子供にも飲みやすいという利点もあります。私の子供は1歳ごろに飲ませた時に「おイモの味がする」と美味しそうに服用していました。
このように大人から子供まで、様々な疾患に用いることが出来る「五行草茶」はとても重宝します。急病の時にも応用できることも多いので、ご家庭で常備しておくことをお勧めします。
≪参考図書;中医臨床のための中薬学(医歯薬出版)≫