皮膚病は1日を通して病態が変化することが多い疾患です。一般的には朝から午前中は症状が安定し、夕方ごろから痒みや赤みが気になりだします。そして夜寝る頃がピークとなり、睡眠に影響を与えてしまうことも多くなります。
この変化は医学的には、交感神経と副交感神経の活発となる時間帯によって説明されることがあります。一般的に”沈静”に作用する副交感神経が優位となる夕方から夜にかけて、その副交感神経の抑えが利かずに、アレルギー等の症状が出てしまうとされます。
このような変動があるのであれば、それに合わせて皮膚病のケアも考えたいところです。
そこで中医学の出番ですが、時間帯別に関連する臓腑、経絡が規定されている「子後流中(しごりゅうちゅう、しごるちゅう)」という考え方が参考になります。古代の専門書「黄帝内経」に記載されている理論です。
かいつまんで皮膚病に関係するポイントの時間を説明しますと、
21時から23時…三焦経(”流れ”の時間)
23時から1時…胆経(消化、新陳代謝)
1時から3時…肝経(解毒、修復)
3時から5時…肺経(呼吸器系、皮膚)
5時から7時…大腸経(排泄、皮膚)
7時から9時…胃経(消化)
21時から3時までは、気血の流れが大切となる時間帯です。また、「三焦」や「肝」「胆」系は”暑い”経絡でもあるため、”熱”がこもると悪化しやすい皮膚病にとっては、厄介な時間帯と言えるのです。しかし、言い換えれば皮膚を修復するチャンスでもあります。よって”熱”を冷まし、流れをスムーズにさせる漢方薬を服用することで、皮膚炎の改善が見込めるとも考えられます。
具体的には、21時から寝るまでの間に、”熱”を冷まし、消化を助ける漢方薬を服用します。具体的には「星火温胆湯(せいかうんたんとう)」などの漢方がピッタリで、その他消化を助ける「晶三仙(しょうさんせん)」もこの時間帯に服用すると状態が良くなることが多いようです。またステロイドが必要なケースも、この時間帯に塗ると”熱”が抑えられます。
さらには、ストレスが多い方には「肝胆」をケアする「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」や「柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)」などを寝る前に飲んでみるのも良いかもしれません。もちろん、早めに寝ることも重要です。
起床後については、「肺経」に働く「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」をまず服用し、皮膚とのつながりが深い「肺」をケアします。そして朝食前には大腸や胃を労わるために、胃腸ケアの漢方薬である「星火健脾散(せいかけんぴさん)」などの服用が適します。
もちろん皮膚の状態や体質によって飲むべきお薬は変わりますが、このような考え方に基づいて飲み方を少し工夫してみると効果が出る場合も多いのです。ぜひ覚えておきましょう。