若年性関節リウマチ(若年性関節炎)は、その名前の通り、15歳以下の子供に発症するリウマチです。その定義は、6週間以上続く原因不明の関節炎、とされます。
全身型と小関節型(4か所以下の関節炎)、多関節型(5か所以上の関節炎)があり、多関節型はやや予後が悪い傾向があります。全身型は発熱が主な症状で、関節炎があまり目立たないことも多いために診断がつきにくいことが多いようです。発熱は1日のうちで上がったり下がったりすることが多いという特徴があります。
原因は不明であり、大人のリウマチと同じく免疫疾患であると考えられますが、何らかのウイルスが関与しているという説もあるようです。しかし、大人のリウマチのようにリウマトイド因子と呼ばれる血液検査で調べられる項目が陽性とならない場合も多く、検査というより臨床所見で若年性関節リウマチの診断が成されることが多くなります。やや女子の発症が多い病気です。子供にとっては、痛みは大変な苦痛となりますし、何より動く事が制限されるという点で精神的にも負担となる部分が多いでしょう。
病院では、炎症を抑えるお薬(アスピリンやプレドニン)の投与が中心となり、場合によっては抗リウマチ薬が使用されることがあるでしょう。しかし、慢性的に経過する疾患であるため、長期間の投与は副作用が心配になります。具体的にはアスピリンなどの抗炎症薬によって、胃痛がしたり、食欲が無くなったりするケースがあります。
また、病院のお薬は当面の症状を抑えるためには有効かもしれませんが、根本的な原因を治すことは出来ません。体全体のことを考えて対処する、漢方薬が合っている疾患の一つであると感じます。
さて若年性関節リウマチを漢方の考え方でとらえた場合、まず炎症性の疾患であることに注目すべきと考えます。炎症であるということは「熱」が存在しています。よって、特に急性期には体を温めるタイプの漢方薬だけを服用することはお勧めできません。
逆に「熱」を「発散」して取り除く漢方薬が必要となるケースが多く、具体的には「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」などが候補になります。
しかし、若年性関節リウマチは漢方で云う「痺証(ひしょう)」にあたる疾患です。この「痺証」には様々なタイプがありますので、その体質、症状に合わせて漢方薬も選んでいく必要があります。よって、なんの診断もせずに「若年性関節リウマチには、この漢方薬が良いですよ」と謳っているお店や病院の先生には注意が必要です。
なお免疫疾患という観点、子供に起きているという点から「腎」の問題と考える場合もあります。漢方で「腎」は生命力と関係する「臓」とされるためです。その場合には「腎」に働きかける漢方薬も候補となってきます。
前述しましたように、痛みだけでなく、運動を制限されたり、症状を呈している期間が比較的長い、若年性関節リウマチという病気は子供にとって辛い病気です。病気を理解してあげて、精神的な部分でも、家族が支えてあげることが一番の薬となります。漢方薬を服用する場合にも根気よく続けていく必要がありますのが、本人だけでなく家族全員が慌てずにゆっくりと心身を整えていけるといいですね。
(参考資料;今日の治療指針(医学書院))
若年性関節リウマチ
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「子供の薄毛」