自家中毒.jpg自家中毒とは、周期的に嘔吐を繰り返す病気で、周期性嘔吐症とも言われます。何らかの原因で子供が嘔吐して、体内に栄養が不足すると、体の中では蓄えていた脂肪を分解して栄養を作り出そうとします。その過程においてアセトンという物質が生じます。そのアセトンが体内に多くなると、吐き気を催してしまいます。このように自分の身体自身が作り出した成分によって、中毒のような嘔吐症状を引き起こしてしまうことから、自家中毒と呼ばれるようになったようです。
きっかけとしてはストレスが関係していることが多いとされ、幼稚園や保育園での行事が発端となったり、親に叱られたことや、引っ越しなども誘発要因になることがあります。また食べ過ぎや、風邪など、嘔吐の一般的な原因が最初の要因となるケースもあるようです。
自家中毒のはっきりとした原因は分かっておらず、西洋医学的には点滴で水分補給をする治療が一般的です。また、成長とともに頻度は減っていくとされます。とはいえ、子供が苦しむ姿を繰り返し見ることは辛いですし、何か対処できることがあればと考えることは当然と思います。このような時の選択肢として、漢方薬を考えてみてはいかがでしょうか。
自家中毒は胃腸系の症状であることから、漢方で云う「脾(消化器系統)」のケアが必要となります。子供は元来、「脾」が弱いとされますので、ストレスなどがきっかけで、嘔吐という症状になっているのだと考えられます。
よって自家中毒対策としては、「星火健脾散(せいかけんぴさん)」などの胃腸機能を補佐する漢方薬をメインに検討していくと良いでしょう。
また嘔吐は「湿」と呼ばれる、体の中の余分な水分も関係します。この「湿」は不要物のことであり、医学的に云うアセトンがこれにあたると考えても良いのかもしれません。よって、「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」や「香蘇散(こうそさん)」など、「湿」を体から除いていく漢方も服用すると良いでしょう。
とはいえ、やはり漢方的な原因はケースバイケース。しっかりとした診立てが何より重要です。漢方の専門家にしっかりと相談をして服用をしましょう。
じきに治ることが多い病気といえ、嘔吐は体を消耗します。あまり心配し過ぎも良くありませんが、ぜひお子様のお体のことを長い目で見て考え、漢方的な対策をご検討ください。