犬猫の甲状腺機能低下症.jpg甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が減少し、様々な症状が引き起こされる疾患です。人間にも起こる病気ですが、犬にも多く、特にレトリバーや芝犬などの中・小型犬に多いようです。逆に猫には少ないとされています。
甲状腺ホルモンは簡単にいえば体の細胞の活性化に関与しているため、その不足は活動の低下を招きます。具体的には疲労、便秘、冷え、性欲減退、脱毛などの症状が引き起こされます。
大体においては7,8歳以上の犬に多い病気ですが、若い犬でもかかる可能性はあります。判断は血液検査でホルモン値を測定することで容易ですが、”ちょっと元気がない”程度に見えることも多く、なかなか病気であると分かりにくケースもあるでしょう。
症状が重い場合には甲状腺ホルモンを直接投与することになりますが、そこまでひどくない場合には経過観察となるケースもあります。ホルモン投与は一時しのぎにしかなりませんので、根本解決のために漢方薬の投与を検討することも一考です。
甲状腺機能低下症を漢方的にみると「腎陽」が不足している状態と考えます。「腎」とは”生殖力””生命力”と関係が深い”臓”で、その”陽”、すなわち体を温める成分が不足していることを「腎陽虚」と呼びます。よって、この「腎陽」を補う漢方薬を服用することが解決策となっていくでしょう。
具体的には「八味地黄丸(はちみじおうがん)」や「海馬補腎丸(かいばほじんがん)」などの服用を考えます。これらは「腎陽」を補い、体に活力を与えます。しかし体質を総合的にみて服用薬を決めることが重要なので、まずは専門家に相談をしましょう。
また原則としては体の活性が落ちている状態ですから、体を温めて元気をつけるような食事を考えましょう。鶏肉、牛肉はもちろんですが、羊肉を与えることが出来ればベストです。