インフルエンザと漢方.jpg人間は疫病(流行り病)と長い間、闘ってきました。原因が細菌やウイルスといった微生物であると分かったのは、本当につい最近のこと。次々と人々が病に伏す伝染病は昔の人によって恐怖であり、その病に負けないよう様々な努力が続けられてきました。その一つに漢方という医学があります。
いまインフルエンザをはじめ、様々な新型のウイルスの発生に対しての警戒が叫ばれています。基本的にウイルスと人間の戦いはいたちごっこ。人間も必死なら、ウイルスも生き残るために必死なのです。ワクチンや抗ウイルス薬を開発しても、それを上回るウイルスは次々に生まれます。
一方、長い期間をかけて、賢人の知恵を結集しての理論が確立している漢方は、生きた学問であり、ウイルスに立ち向かうために有効な手段の一つです。ウイルスの種類など分からない昔から、その病の特徴などから対処法を見出してきたのです。新型でも旧型でも関係ありません。
残念ながら漢方に関してまだ世論が注目しておらず、せっかくの武器を役立てることが出来ているとは言えません。これには科学的な有効性の説明が難しいという理由があるようですが、少しずつその考え方を取り入れる方が増えています。ぜひ皆さんもこのような時こそ先人の努力の結晶を利用してみて下さいね。
さてまずインフルエンザの予防についてです。予防は簡単にいえば、「免疫力を高めること」と「抗ウイルス作用を持つ生薬を使用すること」の2点に絞られます。
まず最初に、免疫力の低い人が重症化しやすいことは盛んに言われているとおり、その対処を漢方で行っていくことが重要です。具体的には「衛気(えっき)」と呼ばれる、防御機能の働きを持つ”気”を高める漢方を服用すると良いでしょう。代表的なお薬に「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」や「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)」「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などがあります。
また「抗ウイルス作用」に関しては「板藍根(ばんらんこん)」を忘れることは出来ません。小さい子供でも安心して手軽に服用することが出来ますので、より多くの方に活用して頂きたい漢方薬です。
また疑いのある症状が出てしまった時にはどうすればよいのでしょうか。初期であれば速やかに「板藍根」を服用することをお勧めします。
その他、熱を鎮め、解毒作用を持つ「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」「五涼華(ごりょうか)」等を服用すれば悪化は防げるはずです。”邪”が体内の奥に入ってしまうと厄介です。その前に食い止めることをぜひ心がけて下さい。場合によっては1分でも早く服用することが大切です。
また食養生としては、”肺”をケアするとされる梨、やビワ、ネギ、白菜、大根などを多く摂るといいですね。特に漢方薬をどうしても飲めないお子様は、食養生をまず行ってみて下さい。