乳製品と漢方.jpgなんとなく体に良いとされる乳製品。昔はよく「牛乳をたくさん飲むと背が伸びる」と聞いた気がします。私も毎日欠かさず飲んでいた記憶があります。また、カスピ海ヨーグルトのブームも10年ほど前にありましたよね。ヨーグルトについては長寿の地域で良く食べられているというデータがあったりと、ある程度科学的にも証明され、有名なヤクルト菌もいわゆる善玉菌として広く知れわたっています。
しかし牛乳が飲まれるようになったのは戦後のこと。チーズやヨーグルト、バターやアイスクリームも以前の日本にはありませんでした。欧米の方の体には合っていても、日本人に良いとは限りません。
また、栄養学的に優れているとされますが、カルシウムの含有量は小魚とそれほど違いはなく(1食でどれほど食べるかですが…)、逆に脂肪分は多いなどマイナス面もあります。
さて漢方の世界でも乳製品の歴史は古くありません。よって牛乳などが良い悪いという内容もあまり出てこないように思います。
ただ食材の区分け的には平性もしくは涼性(体をやや冷やす性質)と分類されていることが多く、体を潤す作用を持つと書いてある本を目にします。これは最近の経験則上で専門家が記しているのですが、それでも統一の認識ではありません。
私の個人的な見解ですが、牛乳を飲んだり乳製品を食べるとお通じが良くなったり、それを通り越してお腹を壊したりする人が多い点、また、アレルギーになりやすい食材である点に注目をしています。
漢方の世界でも日本人はお腹が弱いことが知られており、乳製品が胃腸の負担となる点は否めません。この点が欧米人との大きな違いになるかと思います。そしてもう一点のアレルギーとの関係についても、胃腸の細菌バランスを壊していることが一つの原因のようにも感じます。
よって、中医学的に「脾」が弱い方、すなわちお腹を壊しやすかったり、疲れやすく、食欲もあまり無い、もしくは食べても太らないような方に乳製品はお勧めできないと考えています。また、子供にも牛乳が良く勧められますが、子供は「脾」があまり発達していません。よって私は牛乳やヨーグルトは子供に与えすぎることは良くないと思っています。もちろんアイスクリームは一番負担がかかると感じます。
ちなみに牛乳も冷やした状態よりはホットミルクであった方が良いと思いますし、どうしても乳製品が食べたい方には発酵していて温めても食べられるチーズが良いのではないかと考えます。
最後に豆乳についてですが、これは乳と付きますが、豆から作られており乳製品ではありません。中国でも飲まれることが多く、平性で「補陰(潤いを補給する)」の働きがあると定義されます。
ただ、イソフラボンが多く含まれているため、女性に人気があるようですが、摂り過ぎはどうかと思います。また、どうしても胃腸の吸収はあまり良くないため、牛乳と同じく「脾」すなわち胃腸の弱い方は注意した方がよさそうです。
「牛乳は体に良い」と信じて飲み続けて調子が良いのであれば止める必要はありません。しかし、そうではないという見解もあると知ることが何より大事かと感じます。そして「牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる」という方はぜひ無理して飲まずに早く止めて下さいね。