よもぎと漢方不妊.jpg最近「よもぎ蒸し」が話題となっているようですね。私は詳しく知らなかったのでインターネットで調べてみましたが、韓国で昔から行われている民間療法のようですね。
よもぎは皆様にもなじみのある植物で、ハーブティーとしても用いられています。その蒸気で身体を芯から蒸すとなると、確かに効きそうなイメージ。人気が出てきているのもうなずけます。手軽にパッドを使う方法もあるそうです。
また先日、お客様がよもぎを持ってこられて「男ヨモギと女ヨモギって分かりますか?」とお尋ねになりました。確かに見ると茎の部分に絨毛があり、違いが見受けられました。勉強不足で申し訳ありません…というところなのですが、品種が違うようですね。
よもぎは今でも至る所で目にします。保育園に行っている私の長男も、園の皆で散歩中に見つけたらしく、先生がよもぎだんごを作ってくれたそうです。自然に生えているよもぎが、体にも良いものとして活用出来ることを知るという意味でも良いことですよね。
少し話がそれましたが、よもぎは民間ではお風呂に入れて、冷え症や腰痛、痔の治療に用いることが多いようです。また煎じ液は腹痛や貧血、痔の出血に使っていたとのこと。そして葉の汁を切りキズの止血や湿疹の際に用いたそうです。
これらは、中医学の理論で定義されている効果ととても良く一致します。よもぎは「艾葉(がいよう)」と呼ばれる生薬になるのですが、「散寒除湿・止痛」「温経止血」の効果があるとされています。簡単に言えば、冷えを原因とする生理不順や生理痛、不妊、不正出血に良いと考えられます。
そして「艾葉」が含まれる代表的な漢方薬が「きゅう帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)」であり、上記のような症状のほか、妊娠時の出血、痔の出血にも良く用いられています。
そして忘れてはならないのが、モグサ。よもぎの葉の裏の絨毛をさらし、お灸に用います。いわゆるツボにお灸をすると、気血を巡らせ、経絡の流れを改善するとされます。
これもモグサが良く燃えるからというだけではなく、よもぎ本来の持つ「温経」の作用を生かしているとも考えられます。
ということで、よもぎはとても体に良さそうですから、「よもぎ蒸し」はどなたにもおススメかというとそうでもありません。温めて乾かす性質がありますので、のぼせやほてり、口の渇きがあったりする方は注意が必要です。また、皮膚病で赤いできものが出来ている時などもあまりおススメできません。
特に冷えがある方の不妊にも悪くないと考えられますが、特効薬的な効果があるとはとても思えません。しかしながら、「よもぎ蒸し」やお灸で気持ち良く感じられるようであれば、それは体にとってメリットが大きいと考えます。身近な漢方であるよもぎを上手に活用して、健康に役立てたいものですね。
≪参考資料;漢方のくすりの辞典(医歯薬出版)≫