健康診断ですぐに判定できる貧血の数値。主にヘモグロビンでその程度を図りますが、女性は12以下で経過観察、11以下で要注意、10以下となると鉄剤を処方されるなど、治療の対象となってくることが多いようです。もちろんこの数値は大事ですが、ヘモグロビンが12以上でも、めまいや立ちくらみ、息切れなどの症状が起きやすいようであれば貧血傾向であると考えるべきと感じます。
女性は生理、出産などで血液を消耗しやすい環境にありますが、現代はダイエットなど食生活の問題から、貧血の女性はとても多いとされています。また、男性も生活環境の影響でしょうか、貧血傾向のある方が増えている印象です。
さて、漢方で云う「血」は、血液よりも広い意味を持っています。なかでも特徴的な役割が「こころの栄養源」の役割。すなわち、「血」が精神の充実と関係するのです。よって、「血」の不足は不安感を生じさせ、不眠や、情緒不安定などを引き起こすことになると考えます。
また「血」は脳の活動とも関係しますので、その不足は物忘れ、集中力低下などにもつながります。
他にも「血」不足になると、以下のような症状が表れるとされます。
☆こむら返り(足がつる)
☆目の疲れ、乾燥
☆爪が割れやすくなる
☆髪の毛のつやがなくなる、抜け毛
☆肌の乾燥
☆不正出血や生理不順
☆不妊
では「血」を増やすためにはどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。まず基本的な原則として、「血」を生み出すのは胃腸であるという点を意識しなければなりません。食べ物を消化、吸収して、初めて「血」のもとが作られるのです。よって胃腸が弱い方は、まずは胃腸の強化を考えていくべきでしょう。特に「血」を補うとされる食材、お肉類はあまり消化が良くありません。調理方法を工夫するなどして、出来るだけ胃腸に負担とならないようにしつつ、摂取出来るといいですね。
逆に胃腸が強い方は、お肉を積極的に摂ることが「血」を補うことにつながります。ダイエットを気にし過ぎず、良質なタンパク源であるお肉をしっかりと摂りましょう。
その他、ひじきなど海藻類、牡蠣など貝類、にんじん、ほうれん草、大豆、小豆などもおススメ食材ですが、あまりこだわり過ぎずに、バランスよく摂ることが大切です。
そして「血」は液体ですから、水分摂取もこまめに行うとよいですね。
次にいかに「血」を消耗しないかと言う観点からみてみます。まず目の使い過ぎに気をつけてみましょう。中医学には目を使うことで、「血」が消耗するという考え方があります。同じく、集中しすぎ、気の使い過ぎもよくありません。
そして「血」が生成される夜は、早めに就寝することが大切です。
さらには汗を大量にかくような過度な運動は控え、体に刺激となるコーヒーも飲み過ぎないようにするといいですね。