ほくろと漢方.jpgほくろは皮膚の色素をつくるメラニン細胞から生じるとされます。生まれた時にはほとんど無いほくろですが、思春期頃までの間に徐々に増えていきます。
ホルモンとの関係が深いと言われていて、妊娠中はほくろの量が増えて色も濃くなるなどの変化がみられます。しかし一般的には一度できたほくろは消えることはなく、また体質的に出来やすい方は年齢を重ねても増え続けていきます。特に女性は顔など目立つ場所に出来ると気になるようですね。
どんな人にもほくろはあるので、普通は気にする必要はありませんが、皮膚がんの一種であるメラノーマに外観が似ているため、その見極めが必要になります。ほくろの縁が不明瞭であったり、痛みがあったり、色が特異的、どんどん大きくなる、などの特徴があれば一度専門機関を受診して見てもらいましょう。
また紫外線とほくろの関係は深いとされ、基本的にほくろは日によくあたる場所に出来ます。またメラノーマも紫外線によるDNA損傷がその発症に多く関わっているとされます。メラノーマは遺伝的要素が強く日本人にはそれほど多くない病気であるため過度に心配する必要はありませんが、不必要に紫外線に当たることは避けた方が無難です。
さてほくろを漢方の理論で考えてみましょう。ほくろは中医学ではあまり重要視されないようで、文献などでもあまり見たことがありません。しかし、その色や形成される過程を考えると「お血(おけつ)」の関与が非常に深いであろうことが想像できます。またシミのように、皮膚に黒い斑点が出来るような時は「お血」とされていますので、ほくろもまた然りと考えて良いでしょう。
さらには「痰湿」の関与も疑われます。「痰湿」とは体内の不要な水分が蓄積されたものであり、”塊”は「痰湿」の影響を考慮することが普通です。ほくろも”塊”の一種ですから「痰湿」がその形成に関わっていることもあるでしょう。
よってほくろが出来やすい体質であれば、まず「お血」体質に関してのケアを考えます。具体的には「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの血行を良くする作用を持つ漢方薬が選択されることが多いでしょう。さらには「痰湿」体質を考慮して、場合によっては「温胆湯(うんたんとう)」などの漢方を使っていきます。
とはいえ原因が多岐にわたる可能性もあり、その人その人で服用すべきお薬も変わります。漢方薬局でしっかりと相談をして、体質を考慮した上で飲むお薬を決定しましょう。