毛嚢炎(もうのうえん)は毛包炎と呼ばれることもある皮膚病であり、膿皮症の一種です。基本的には急性疾患であり、一時的な症状で収まっていくことが多い病気です。
一般的には痒みはなく、部位によって痛みが若干ある程度です。いわゆるニキビにも毛嚢炎が存在することが多く、顔や首の他、背中やお尻、太ももなどに出来やすいとされます。特に顔や首は目立つため、お尻は座る時に痛みが生じるために厄介となります。最近は大人ニキビ(アダルトニキビ)とも言われるそうですが、これはほとんどが毛嚢炎ではないでしょうか。
原因は、いわゆる毛穴にブドウ球菌と呼ばれる細菌が感染したことによります。ブドウ球菌自体は珍しい最近ではありませんので、皮膚の免疫力が落ちたり、ケガなどで感染しやすい状態となった場合、もしくは細菌が繁殖しやすい条件が揃った場合(高温多湿など)に症状として現れます。また、ステロイドで免疫が落ちた時にも起こりやすいとされます。
ちなみに毛嚢炎が悪化して化膿が進むと「せつ」と呼ばれる、いわゆるおできとなります。またさらに重症化すると「よう」と言われる発熱や疲労感が伴う病気となります。こうなると全身への抗生物質の投与が必要となってきます。
急性症状ですから、基本的には時間がたてば治っていきます。しかし病院では「ミノマイシン」などの抗生物質が処方されることが多いでしょう。また塗り薬も効果的な場合もありますが、ステロイドを使ってしまうと悪化してしまうため、注意が必要です。
問題は症状を繰り返す場合や、西洋薬が効果がない場合、副作用が出る場合などです。こういった場合には漢方薬を試してみる価値はあるのではないかと思われます。
毛嚢炎は赤みが強く、ぷっくりとしている点が特徴です。これは”熱”すなわち炎症が強いことを表しています。よって”熱”を取り除く漢方薬である「涼血清営顆粒(りょうけつせいえいかりゅう)」や「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」「五涼華(ごりょうか)」などを使います。
また表面の菌感染ですから、スキンケアも非常に重要です。「瑞花露ソープ」を中心として洗浄することも大事となりますし、「五行草(ごぎょうそう)」の湿布などで菌退治を図ることも一考です。
一方で、そもそも毛嚢炎が出来る仕組みとして、免疫力の低下があります。よって根本的に体質改善をして、毛嚢炎が出来ない体を作っていくということであれば、「気」すなわちエネルギーを高める作用を持つ漢方薬が必要となります。具体的には「衛益顆粒(えいけきかりゅう)」などが挙げられます。
しかしこれはあくまで症状が落ちつている時であり、急性期は先に挙げた漢方薬で”熱”を取り除いていくと良いと思います。
毛嚢炎はキレイに洗えば良いと思っている方もいるかもしれませんが、免疫力とも関連する病態です。またカミソリや衣服の刺激などで皮膚が弱っている可能性もあります。お尻や背中など見えないからいいや、ではなく、しっかりと理論的に対処して、早く治していきましょうね。
毛嚢炎と漢方
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