爪剥離と漢方.jpg最近は爪のおしゃれが女性の間で流行っているようですね。もちろん昔からマニキュアはあったと思いますが、付け爪やネイルアートなど、最近は段々とエスカレートしている気がします。ネイルアートのお店もちらほら見ますし、私の子供もお祭りなどの催しで爪に装飾してもらったことがあります。
男の私から見れば、普通の爪が一番きれいなのになあ、と思うのですが…
さて、そういった爪のおしゃれが増えるにつれ、多くなってきた病気が二枚爪や爪剥離症(爪甲剥離症(そうこうはくりしょう))です。二枚爪は爪の先端が割れたり剥がれたりする状態であり、爪剥離症は爪が半分ほど先端から剥がれ落ちる症状です。ポイントは「先端から」という点。そして痛みは無く、完全に剥がれることもありません。
そしてどちらも女性に多い病気とされます。
原因は明確にされていませんが、感染症ではないので、人にうつることはありません。
候補として考えられている原因は以下のようなものがあります。しかしこれらが単独で起こる場合もあれば、組み合わせで症状が起こるケースもあるだろうと推測されます。
1)甲状腺機能亢進症
2)貧血
3)加齢
4)除光液など化学物質の付け過ぎや、付け爪による乾燥
しかし特発性と云って、原因不明のケースも多々あります。ちなみに甲状腺機能亢進症が原因の場合には全部の爪が同じように剥離してしまいますが、特に4)のケースは1本しか見られないケースや、あっても少しという方が大半です。
さて中医学的な考え方に入る前に「爪」に関しての基礎知識です。中医学では「爪」は「筋」の一部と考えます。そして五行説において、「筋」は五臓六腑の「肝」のグループに入るのです。
よって、「爪」のケアを考える場合には「肝」の状態を整えることをまず第一に検討します。
もちろん中医学的な問診で詳細な体質を判断し、「爪」の状態も考慮して治療方法を決めていきますが、もっとも多いと考えられるタイプは「肝血不足」です。簡単に云うのであれば「血虚」であり、上記原因にも挙がっている貧血と合致します。
要するに「血」不足で「肝」の機能が衰え、「爪」とその周辺の皮膚細胞を滋養出来なくなり、剥離が起こると考えるのです。「血虚」の場合には肌の乾燥が生じやすいとされますし、加齢によって「血虚」も起こりやすく、また女性に多い体質であるため、西洋医学的な知見と矛盾しません。
よって対策としては「補血薬」を服用すべきということとなります。具体的には「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」という漢方薬であり、爪剥離で悩んでいる方の多くに適合するのではないかと考えられます。
また甲状腺機能亢進症でも爪剥離が起こるという点からも、「血虚」が進んだ「陰虚」状態の体質も考慮します。もちろん状況がひどい場合には医学的治療を優先すべきです。しかし口の渇きやのぼせ、ほてり、多汗などが強い場合には、中医学的な考え方から「補陰薬」を服用すると状況は好転するでしょう。具体的な漢方薬としては「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」などになりますが、年齢やその他の体調も考慮して服用薬を決定します。
簡単にいえば、体の中から潤いを与えてあげることを考えると良いでしょう。もちろん漢方薬と合わせての食事療法も効果的です。そしてやはり爪の症状はネイルケアも必要となります。爪の乾燥を防ぐクリームなどを併用すると改善も早いでしょう。
ぜひ女性の方は爪のおしゃれだけでなく、爪の健康にも気を使って頂き、爪美人を目指して下さいね。