ものもらい麦粒腫漢方.jpgものもらいは、麦粒腫と呼ばれる、眼の周辺に出来る炎症性疾患です。まぶたの裏側にも出来やすく、主に黄色ブドウ球菌という細菌の感染が原因とされます。
ものもらいは、出来やすい体質の方がいて、特に子供などは繰り返し発症することが多い疾患です。しかし基本的には2,3日で治まります。名前を見ると、何となく感染性が高そうですが、他人にうつることはほとんどないとされます。
ものもらいは重篤な状態につながるケースはほとんどありません。しかし、痛みやかゆみを伴うことがあり、また見た目にも一目で分かってしまう疾患のため、度々起こる場合には気になる方も多いでしょう。
膿が出てしまえば、快方に向かうため、原則としては自然に任せておけば良いと思います。病院を受診した場合には抗生物質の点眼薬か内服薬を処方されますが、原因が細菌感染で明確な場合が多く、薬も比較的良く効きます。
問題は上記のように繰り返す場合であり、その場合にはものもらいが出来にくい体質作りを考えても良いのではないでしょうか。また急性期の治療も、抗生物質より漢方薬が良い場合もあります。症状が起きるごとに抗生物質を使ってしまうよりは、漢方薬で早めの対処をしても良いのではないでしょうか。
さて、まずはものもらいの体質改善ですが、基本的には他の皮膚病と同じく、バリア機能を高めることが重要です。漢方では身体のバリア機能は「衛気」が担うと考えられています。「衛気」は身体を守る「気(エネルギー)」であり、その「気」が不足すると、細菌にも感染しやすくなってしまうのです。
よって、「衛気」を高めるための漢方薬として「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」をお勧めします。ものもらいだけでなく、風邪を引きやすかったり、アレルギー体質がある方などにはピッタリの体質改善の漢方です。
また、ものもらいは赤くなることからも分かるように、”熱”の病気です。よって、”熱”体質の改善を行っていくことがものもらいの出来にくい身体作りにもつながっていきます。具体的には「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」というお薬や、「知柏壮健丸(ちばくそうけんがん)」といった漢方薬が合うケースが想定されます。
そして、それでもものもらいになってしまった時の漢方薬ですが、「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」や「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」、「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」などの処方が使用されることが多いでしょう。ちなみに、日本漢方の先生は、ものもらいに「葛根湯」を使用することがあるようですが、私はお勧めしません。なぜなら葛根湯は温める処方であり、”熱”疾患のものもらいには逆効果のケースも考えられるからです。
最後に生活養生ですが、基本的には「衛気」を高めることが重要なので、胃腸と呼吸器系を労わり、暴飲暴食を控え、タバコや極力止めるようにした方が良いでしょう。
また、香辛料の摂り過ぎや、油の多い料理、お菓子や甘いものの摂り過ぎもよくないと考えます。
このような漢方的な考え方を利用して、ものもらいの出来にくい、治りやすい体作りをしてみて下さいね。