肝斑と漢方.jpg肝斑(かんぱん)は額やほほ、口のまわり、鼻に左右対称で境界がはっきりとした褐色の班と定義されています。一時期テレビCMで取り上げられたことがあり、その病名が広まったようにも思いますが、いわゆる「シミ」に近い皮膚の色素沈着です。左右対称であることが特徴と言えるでしょう。
妊娠や経口避妊薬を服用することによって誘発、または憎悪するとされている通り、女性ホルモンとの関係が指摘されています。しかし、妊娠とは関係のない女性でも発生しますし、皮膚の色が比較的黒い男性にも起こります(全体の10%程度)。日光を浴びることにも関係するとされていますが、症状が発生するはっきりとした仕組みは分かっていないのが現状です。
妊娠や薬剤で生じた肝斑は、出産や薬剤の中止で、色が少しずつ薄くなっていくことが多いとされます。
外的治療には薬剤を塗って落とす、ケミカルピーリングが有効とされます。内服についてはテレビCMでおなじみのトラネキサム酸が使用されることが多いようです。ちなみにトラネキサム酸は止血剤ですが、炎症を鎮める作用もあるとされますし、美白成分として聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これらの治療で症状が和らげば問題ないのですが、妊娠中や妊娠を考えている方は、お薬などでの治療をためらう方が多いのではないかと思います。また治療で良くならない肝斑も多く、そのような場合には漢方薬の服用も考えてみましょう。
漢方的に見た場合、肝斑はホルモンとの関係も指摘されることから「肝」のケアが重要ではないかと考えています。「肝」は漢方では自律神経とも関係した「臓」であり、その不安定な状態が肝斑を引き起こしていることが多いように感じます。
ちなみに肝斑の名前にも”肝”が付きますが、これは班が肝臓の形に似ているためにつけられた名称とのことで、肝臓と班の関係はないとのことです。とはいえ、漢方的には「肝」と多少の関係がありそうで、面白いですよね。
また、肝斑には「お血」も関係しているケースも多いと思われます。いわゆる血行不良が「お血」であり、これも妊娠中に悪化することの多い体質です。よって、この「お血」を改善する漢方薬も肝斑対策に必要であると考えます。
肝斑もやはり美容面での大敵。また男性で悩んでいる方も増えているようです。ぜひ体質判断をしたうえでの漢方薬使用を検討してみて下さいね。