小児てんかんと漢方.jpg小児てんかんは難治性の場合もありますが大半は治癒します。急にてんかん発作が起きるとびっくりしますが、てんかん自体はそれほど珍しくはない病気であり、周りの大人が落ち着いて行動することが大切です。病院で脳波検査を行い、原則として抗てんかん薬で治療します。
ただし抗てんかん薬は比較的強いお薬であり、副作用が起きる場合が多いとされます。また効果が薄い場合は何種類かのお薬を併用することになり、子供にとっては負担となってくるでしょう。
さらにてんかんの子供はその他にも病気を患っていることも多いものです。よって、全身状態を考えて漢方薬を服用すれば、てんかんの症状を和らげるだけでなく、体調自体もアップさせることが期待出来ます。
ただし最初は抗てんかん薬を急に止めずに、漢方薬との併用を原則として考えていくべきと思われます。
中医学ではてんかんを「肝」の病気と捉えます。中医学で「肝」は自律神経と関係するとされます。この「肝」の機能が上手く働かず「肝風」といって体内に不要な動きが生じることにより、てんかん発作が生じると考えられています。
またてんかんには「痰」が関係することもあります。「痰」とは体の中の余分な水分が凝り固まった状態であり、この「痰」が体内の「穴」を塞ぎ、発作を引き起こします。
さらに、てんかんは脳波の乱れがあることから、血行の問題も考えます。「お血(おけつ)」と呼ばれる状態であり、この体質も脳の微小循環の血流を悪化させ、てんかんの原因になるとされます。
よって「肝」をケアするお薬として「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「抑肝散(よくかんさん)」などが適用となる場合が多いでしょう。また、「痰」を取り除くお薬として「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」や「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」を考えることもあります。さらには「お血」対策として「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などを考慮することもあるでしょう。
小児てんかんは体の成長とともに落ち着いてくることが多い病気ですが、体の中の何らかのアンバランスから生じている症状であると考え、漢方薬で早めに体質改善を図ることをお勧めします。