おねしょと漢方.jpgおもらしは夜尿症と呼ばれ、親を悩ます症状の一つです。シーツや寝間着の洗濯は、忙しい朝の時間の手間となり、ついつい子供に怒ってしまう方も多いでしょう。しかし、おねしょが収まる年齢は個人差がありますので、あまりに神経質になってはいけません。精神的負担は逆効果であり、解決にはならないとされています。また、夜中に途中で起こして排尿させることも良くないとされています。5,6歳まではぜひお父さんお母さんは温かく見守ってあげて下さいね。
ただし、小学校入学後もおねしょが続き、本人が気にするようになってくると対処が必要です。6歳を過ぎても毎日続くようであれば、まずは病院で何か病気が隠れていないか一度検査をすると良いでしょう。
そこで理由が分からないとなれば漢方薬の出番となります。
さて、おねしょはおじいちゃんやおばあちゃんのような高齢者もすることがあります。これはなぜでしょうか。漢方的には「腎」と「膀胱」は同じグループに属し、この「腎」が弱るとお小水の異常が出ると考えます。そしてこの「腎」は”生命力”や”老化”と関係しており、「腎」は子供では未発達であり、高齢者は「腎」が年齢とともに衰えるとされているのです。
このことからも分かるように、おねしょは「腎」の不足が原因であることは多いのです。
よって「六味丸(ろくみがん)」という「腎」を補う漢方がおねしょに効果的なケースが見られます。また冷えが伴う場合には「六味丸」に温める二つの成分を足した製剤である「八味丸」が選択されるケースもあるでしょう。
しかしおねしょが多い理由は様々で、中医学で見た「肝」の問題や、「脾」の問題が関与している場合も見受けられます。
神経的な影響が大きいと判断される場合、すなわち中医学の「肝」に問題がある時には「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」などのお薬が考慮されます。
また、胃腸が弱く消化吸収力が乏しいと見受けられる場合、すなわち中医学の「脾」が弱いと考えられる場合には、「星火健脾散(せいかけんぴさん)」などの漢方の服用を考えます。
おねしょの原因は漢方的に考えてどこにあるのかを専門家に見極めてもらうことが大事です。
おねしょは年齢とともに収まっていくものですが、体の発育の遅れやバランスの乱れを示している体からの信号とも見ることが出来ます。もちろん気になる場合には1歳ぐらいから漢方を服用することを検討しても良いでしょう。早期の対処は回復を早め、お子様の成長を助けることにつながります。