暑がり、寒がりの子供と漢方.jpg「子供は風の子」と言いますよね。「風の子」という言葉自体を考えすぎると良く分からなくなってきてしまいますが、一般的に「子供は寒い日でも外で遊ぶべき、もしくは遊ぶことが好き」という意味で捉えると思います。これは”子供は寒さに強い”と言い換えることが出来るのではないでしょうか。
中医学の考えでも、子供の体は基本的に”熱”に偏り気味とされます。生命力にあふれ、どんどんと大きく成長する過程の子供たちは、熱気が盛んであることが当然でしょう。声も大きく、顔も赤く、体を動かすことが大好きであることが普通です。すなわち多少の暑がりは問題がありません。飲み物も冷たいものを欲する傾向が強いのも、こういった体質が関係している思われます。
ちなみに「赤ちゃん」という言葉は生まれたばかりの乳児は体が赤いから、このように呼ばれているのですが、この”体が赤い”という現象も”熱”を表しています。
よって子供がある程度の暑がりであることは当然なのですが、度を過ぎてしまうと問題となります。例えばアトピーや湿疹も”熱”が関係していますし、中耳炎や鼻炎なども”熱”が原因の可能性があります。その他、汗を異常にかく場合なども注意が必要でしょう。このような時は、「五行草」など、やや”熱”を冷ますタイプの漢方薬などを使用した方が良い場合もあります。
この観点から考えると、子供は出来るだけ薄着を基本にし、暖房も適度にすることが必要です。また、睡眠中に布団をはいでしまう子供を心配して夜たびたび起きるというお母さんが多いですが、暑いから動くのであり、それほど心配しなくても気付いたら布団をかぶせてあげるという程度で良いと思います。
ただし乳児に限っては体温調節が上手く出来ないとも言われており、温め過ぎは禁物ですが、寒暖が激しい状態には気をつけるべきでしょう。
一方、子供が寒がりである場合には体質バランスの崩れがあると考えるべきです。体質的な原因、胃腸機能が弱い場合などがありますが、暑がりより深刻に考えて早めに漢方薬などで対処した方が良いかもしれません。周りの子と比べて元気がなく、食欲もないようであればなおさらです。「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」や「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)」などの体を温める漢方薬が候補となります。
とはいえ寒がりと言っても、寒い日に外に出ることは最初嫌がるが、遊んでいるうちに上着を脱ぎ出すという子であればそれほど心配は要りません。漢方の専門家に相談し、見極めをしっかりと行ってから服用を検討しましょう。