摂食障害と言うと大人の病気のようなイメージがありますが、最近は小学校の低学年から発症するケースも報告されています。食事が用意されていることが当たり前の世の中だからこそ起こる病気とも言え、いわゆる現代病の一つだと思います。女の子に多いとされますが、最近は男児にも見られるようです。発症のピークは思春期であり、心と体のバランスの崩れが原因と考えても良いでしょう。
一口に摂食障害と言っても、食べれない場合と食べ過ぎてしまう場合の二つに分けられます。どちらも問題ではありますが、拒食の状態がひどいと生命の危険も出てくるため、より深刻になります。子供は皮下脂肪が少ないため、体重減少が顕著に現れ、各種栄養素の不足が一定限度を超えると様々な症状が現れます。いわゆる栄養失調は現代でも起こり得るのです。
そして長い期間栄養不足が続くと低身長などの発達障害が起こり、大人になって摂食障害が治まっても緒を引いてしまうケースが見られます。
摂食障害となる契機はダイエットが多いとされます。周囲から「デブ」などと指摘されると対人関係を上手く築けなくなり、食事は悪であるという意識が生まれてしまいます。
また何ら体重や身体的問題とは関係がない心因性のストレスも原因となります。例えば複雑な家庭環境、学校などでのいじめ、勉強やスポーツでの挫折などにより、頼れるものが無くなってしまうと食事しか楽しみが無くなり過食に走ります。食事には幸福感を生みだす作用があるため、悲しみや不安を打ち消すために食べるという行為に向かうと思われます。
しかし周りの人間には思い当たる節があまり無いのに、摂食障害を起こす場合もあります。それどころか本人も理由が分からないケースも存在します。
こういった摂食障害に対処する西洋薬は基本的にはありません。うつ傾向がある場合には、精神安定剤などが適用となりますが、その他は拒食で低栄養や脱水が起きた時に点滴を行うぐらいです。
子供の場合には第一に親との関係が重要ですから、親が病院からのアドバイスを聞き入れて、場合によってはカウンセリングや治療を行う必要もあるでしょう。
漢方の考えでは摂食障害の原因を「肝脾不和(かんぴふわ)」という言葉で表します。「肝」は自律神経と関係があるのですが、その負担が「脾」すなわち消化器官に影響して食欲不振や食欲過剰状態を生みだすと考えます。
もちろんストレスを無くすことが出来ればよいのですが、そう簡単に生活を変えることは出来ません。長期的な観点から、「肝」を調節しながら「脾」の状態を改善することによって、ある程度安定した食事が摂れるようになって来るでしょう。
「肝脾不和」を治療する代表的なお薬は「加味逍遥散(かみしょうようさん)」です。このような体をリラックスさせるお薬が必ず必要となります。
さらに拒食の場合は「脾」の昨日低下が起こっているケースもあり、その場合には「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などの消化器系のパワーを上げる作用を持つ漢方を併用すると良いと思います。また消化剤として使われる「晶三仙」(しょうさんせん)を組み合わせることも一考です。
逆に過食の場合には「脾」に”熱”があると考えられ、その場合には「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」や「参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)」などの”熱”を冷ます作用を持つ漢方の服用を検討しても良いでしょう。
摂食障害はなり始めが肝心です。経過時間が長くなればなるほど対処が難しくなりますので、早め早めに漢方などの服用も考慮し対応策を取っていきましょう。
子供の摂食障害
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