解離性障害と漢方.jpg解離性障害は「過去の記憶、同一性と直接的感覚の意識、そして身体運動のコントロールの間の正常な統合が、一部ないしは完全に失われた状態」と定義されています。
要するに、自分の意識が体から離れた状態、ということになります。苦痛から逃れるために行う、生きるための一つの手段ともされ、生物の本能と考えられています。そうであれば、無理にこの病気を治すべきではないことは自明となります。
具体的には解離性健忘(記憶の喪失)、解離性遁走(失踪し、その記憶の欠如)、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)などの種類があるとされます。例を挙げれば
★現実に起こった出来事を、他人事に感じる
★暴力による痛みを感じない
★気が付くと知らない場所にいる
といったことが起きるそうです。
こどもの解離性障害については、発症の理由に非常に重い背景があることがほとんどとされます。家庭内暴力や性的虐待であったり、激しい恐怖体験などが引き金になると言われています。
もちろんこれら要因から遠ざけ、安全な環境に身をおくことがまず第一の対処法となるでしょう。その上でカウンセリングが必要ですが、子供の場合には言葉よりも、見て触れて感じることの方が重要であったりします。このあたりはまさに専門家でないと対処が難しい部分と思われます。
ある程度時間が経たないと解決できない場合も多いと思われますので焦りは禁物です。しかしながら、出来る限り早く良くなってほしいという気持ちが大きく、医師の勧めで抗不安薬や抗うつ薬などを服用させる場合もあるでしょう。
私はそういった薬で不自然な鎮め方をすることには反対で、体と心にムチを打つようなことをしても良い結果は出ないのではと感じます。よって自然な形で体のケアが出来る漢方薬をお勧めしたいのです。
解離性障害の原因となる出来事は、一言で云うならば「恐怖」です。その「恐怖」に依って五臓の一つ「腎」が傷むとされます。そして、もう一点「心」が病んで発症していると思われますので、そのケアも必要でしょう。
よって「心」と「腎」を補い、その”不交”を正す対策をしていくことが良いと思われます。具体的には「天王補心丹(てんのうほしんたん)」というお薬があり、体に無理をかけずに穏やかに障害を取り除いていくと考えます。
また、”心身が塞がれた”状態となっているケースも多いと考えられ、その場合には”開く”お薬である、「牛黄」を含む製剤が必要となります。
しかしながら、そればかりでなく、様々な部分(臓)が傷んでいる子供もいるため、通り一辺倒でない柔軟な対応を行っていくことが大切です。専門家に必ず見てもらったうえで漢方を試してみて下さい。
最初に述べた通り、無理に解離性障害を治そうとすることは、逆効果となるケースさえ考えられます。しかし周りの手助けが必要であることは間違いありません。慎重な対応を心掛け、漢方で穏やかに対処をしてみてはいかがでしょうか。