子供のケガと漢方.jpg子供にケガはつきもの。多少のすりきずやたんこぶさえも作らない子供では逆に心配な気がします。子供は外でいろいろな遊びをすることによって、身体の動かし方やバランスのとり方を覚え、危険なことを感じていくと言われます。自然な遊びの中で出来た少しぐらいのキズであれば、それは大人へのステップの一つ。大きくなってからひどいケガをしないように、小さいうちにある程度は経験しておきたいものですよね。
とは言え、一生つきまとうようなキズや、大きなケガはもちろん避ける必要があります。かと言っても、事故は私たちの日常生活の至る所で起こる可能性はあり、運悪くケガをしてしまうこともあるでしょう。
古くからも人間にケガはつきものであり、狩猟などでの事故の他に争いで傷ついてしまうケースなども多くありました。外科的な治療法がなかった頃は、治療に限界があったはずですが、それでも漢方の考えも用いながら出来る限りの対処をしていたことでしょう。
現在では外科的な問題はまず病院での治療を優先すべきであり、現代医学の方が優れていることは疑う由もありません。しかしながら、先述のような歴史的背景からも漢方を併用することは間違いではないと感じます。特に以下のようなケースでは適用を考えても良いのではないでしょうか。
★後遺症が残ってしまった場合、またはそれを防ぎたい場合
★手術等の治療の負担を少なくしたい場合
★出来る限り早く治したい場合
以前、高校野球の最後の試合の前に骨折をしてしまった選手の相談を受けましたが、子供のスポーツの場合には二度とないチャンスの前のケガは非常にショックとなります。その場合の一つの可能性を高める手段としても漢方薬を考えてみてはいかがでしょうか。
それでは具体的にケガの種類別に漢方薬での対処方法をみていきましょう。
●骨折
大きなケガではありますが、部位によっては手術等もせずに安静にしておく対処が取られるでしょう。この際に治りを早めるために「骨」に良い漢方処方があります。五行説では「腎」と「骨」は関係が深いとされ、よって「腎」を補うお薬が効果的となるのです。具体的には「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」や「六味丸(ろくみがん)」「イーパオ」などになります。
また、血流を良くする漢方も併用すると良いでしょう。
●打撲
基本的には「お血(血行不良状態)」と捉えます。血行を良くする漢方薬である「疎経活血湯(そけいかっけつとう)」「田七人参(でんしちにんじん)」などが当てはまるケースが多いでしょう。
●やけどなどの傷跡
この場合にも「血」の流れをよくすることが治りを早めてくれます。打撲と同様のお薬や、炎症を鎮めるために「清営顆粒(せいえいかりゅう)」などの服用も考えられます。
ただ、外用薬との併用も大事となり、「セサージ」や「紫雲膏」が用いられます。
ただしケガと言っても、やはり内面的な漢方的体質を考慮した上で漢方薬の選択をしていく必要があります。しっかりと専門家の意見を仰いでから服用をしましょう。