アデノイド子供.jpgアデノイドは咽頭へんとうとも呼ばれ、鼻の奥の突き当り部分のリンパ組織です。一般的に「へんとう」というと口を開けると見えるノドの奥の口蓋へんとうを指しますが、アデノイドは普段見ることのできない部位となります。
このアデノイドはリンパ組織ですから、免疫に関係するとされます。一般的に5,6歳ごろにもっとも大きくなりますが、それが過剰であるとアデノイド肥大と呼ばれ、呼吸障害につながることもあります。また、滲出性中耳炎や慢性副鼻腔炎の原因になるとも考えられています。さらには夜泣きや夜尿との関係もあるとされます。
アデノイド肥大と診断され、切除する子供が最近は増えているように思われますが、10歳ぐらいになれば自然と落ち着いてくることが多いとされます。免疫と関係する器官と言えども、切除で大きな不都合が起きることはないとされますが、やはり体の一部。子供ですし、手術で体と心に負担をかけるというデメリットは必ずあります。睡眠時の呼吸障害などが著しい場合は切除の方がメリットがあると考えますが、あまり安易に手術を選択するのはどうかと感じます。
さて漢方的に考えるアデノイドですが、「痰湿」体質は切り離せない部分であると感じます。「痰湿」とは身体の不要物のこと。アデノイドは”腫れ”であり、過剰に溜まったものと云うイメージで捉えます。アデノイドから引き起こされる滲出性中耳炎や副鼻腔炎も「痰湿」体質が絡んでいることは明白ですから、「痰湿」ケアをまず考えていくというポイントは抑えるべきと思います。
さらには”腫れ”は炎症との関係もありますので、「熱」体質も考慮しなければなりません。体温が低くとも「熱」が患部にこもっていることも十分にあり得ます。「痰湿」があるところには「熱」が発生しやすいという漢方的な特徴もありますし、「熱」対策も検討してみましょう。
よってアデノイドと診断されたものの様子を見ている状態の方や、西洋薬を服用しているが症状が改善しない場合、手術に抵抗がある方などは、「痰湿」「熱」対策を主とする漢方薬を試しても良いと思います。とはいえ、「痰湿」「熱」以外の体質が絡んでいるアデノイドも考えられますし、「痰湿」「熱」が無い場合もあるかもしれません。漢方は全身状態から体質を判断すべきと考えますので、アデノイドに捉われすぎずに服用薬を決めていくことも時には必要です。
ちなみに「痰湿」「熱」は食事との関係も深いと考えられます。子供が好きな、お菓子やファーストフード、ジュースなどはすべて「痰湿」「熱」を生みやすいものばかりです。アデノイドの子だけではありませんが、このような食習慣は気を付けたいところですね。
子供がアデノイド肥大と言われるとビックリしてしまいますが、子供が成長していくときに通る通過点の一つでもあります。もちろん重症の場合には病院での治療が最優先ですが、それほど症状が強くない場合には漢方薬の服用もぜひご検討くださいね。