反抗期と漢方.jpg子供を持つ親であれば、気になる「反抗期」。特に母親が息子さんの反抗期に対して悩むケースが多いのかもしれません。今まで愛情たっぷりに育てた自分の子供が、言うことを全く聞かなくなる、無視をするとなると誰しも困惑するように思います。
とは言え、反抗期と言われる中学生頃の思春期は、親の誰もが通って来た道。その頃は大なり小なり、親に反発していたのではないでしょうか。性別が異なると多少違うのかもしれませんが、自分が子供の頃に感じていたことを思い出し、対処していくと良いのかなと思います。私もまだ子供が反抗期の年齢ではないので、偉そうなことは言えないのですが…
さて反抗期については「自立のために必要」と言う意見を良く耳にします。程度の問題のような気がしますし、必ずしも必要とは私は感じませんが、親側としては「当然のことなんだ」と考えた方が、何より気持ちが楽になりますよね。
ちなみに今は反抗期がないことを心配する方も多いようですね。「我慢していて精神的に良くないのではないか」「親に対しての甘えがあって自立できないのではないか」などと考えるのかもしれませんが、反抗期がないことも個性の一つだと思います。
いずれにしても、しっかりと子供と向き合っていくこと、親も子も心と身体そして時間に余裕をもって生活することが必要ではないでしょうか。
では反抗期を漢方的に考えるとどうなるでしょう。「自然な現象だから放置しておけば…」と仰る方もいらっしゃるかもしれませんが、あまりに激しい状態は心身のバランスの乱れに起因すると考えても良いと感じます。更年期と同じく、体の変化と一概に割り切って考えずに、少し落ち着かせるような漢方薬を使用しても良いのではないでしょうか。
反抗期が起こる要因は、基本的にはイライラだと考えます。気持ちの”抑え”が利かないためにイライラし、あまり理由もなく口答えするようになると考えれば、その”抑え”がしっかりと出来るように体の中から整えるという方法があります。
そして、自身の今後の在り方を考えての”不安感”も反抗期にありがちな気持ちの葛藤でしょう。これは漢方的には「心(しん)」の不安定さと捉えることが出来ると思われます。
さらには、エネルギー過剰状態も一因ではないでしょうか。体が成長し、パワーが有り余ってくる時期でもあります。その発散場所がないために起こる反抗期であれば、そのバランスを取り戻すことが必要となります。
具体的には、不安感に用いられる漢方薬である「天王補心丹(てんのうほしんたん)」、神経症にも用いられる「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」「温胆湯(うんたんとう)」などを上手く使ってみると落ち着くケースがあるでしょう。
一方で反抗期がなくて心配しているケースで、子供にやる気がない、覇気がないという場合も漢方薬での対処があると良いかもしれません。このようなケースでは「気」を高めるタイプのお薬が合っているように感じます。
なお反抗期の子供を抱えて思い悩み、自分の体を悪くしてしまうケースもるかもしれません。この場合にも漢方薬で身体のケアをしても良いと思います。
「見守る」ことは決して簡単ではありませんが、ご自身の身体を大切に、ある時は「子供は子供」と割り切って子離れをしながら反抗期を乗り越えたいものですね。