不登校の漢方.jpg子供が学校に通えなくなる不登校。「学校に行くのやだな」と思った経験はどなたでもあると思うのですが、全く通えなくなってしまう状態まではさらに数段のステップがあるように感じます。朝の登校時に「学校いやだなあ」と子供がぶつぶつ言っている時、夕食時に「明日学校行きたくないなあ」とつぶやいている時、親としては話を流さずに何か手を打つ必要があるのかもしれません。
普通に学校に通っていた自分が親になった時に、子供が小学校、中学校と学校に通うということは当たり前と考えがちです。しかし、文部科学省の2012年の調査では、全児童数に対して中学校で2.56%、小学校で0.31%が不登校。約11万人の子供が学校に通えていません。割合としては横ばいもしくは減少傾向にあるようですが、それでもこれだけの不登校の子供がいる訳です。「私の子供は大丈夫」と自信たっぷりの場合はいいかもしれませんが、一般的には自分の子供が不登校になる可能性ももちろんあると頭に入れておかなければならないでしょう。
そして同じく文部科学省の調査によると、不登校のきっかけとしては「無気力」「不安などの情緒的混乱」が半数以上を占めています。「いじめ以外の友人関係」「親子関係」が続き、「いじめ」は2%ほど。表面化していなかったり、間接的な影響があるケースもありそうですが、人間関係よりも肉体及び精神的な問題の方がきっかけになりやすいことが分かります。
この「無気力」や「不安などの情緒的混乱」については、子供によってそれぞれ状況は違うとは思われますが、漢方的にはそれぞれ「気虚」と「心神不安」もしくは「気滞」症状に他なりません。であれば、それに対応する漢方薬を服用していくことにより、状況は大きく改善する可能性があります。
「覇気がない」「やる気がない」「体力不足」という不登校の子の場合は、自分で力を出したくとも出せないのです。この場合には元気をつける「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などが合うと思われます。不眠があれば「心脾顆粒(しんぴかりゅう)」も良いでしょう。
一方で「落ち着きがない」「暴れる」「精神的な波が大きい」というタイプであれば、不安に効果がある「天王補心丹(てんのうほしんたん」や、精神不安によい「逍遥丸(しょうようがん)」などが合っている可能性があります。
もちろん一概には言えないケースもあり、上記は非常に典型的な場合です。漢方薬を服用する場合には必ず漢方薬局などで相談できると安心です。
子供が不登校となると、大変なのは両親です。場合によっては外出も難しくなりますし、子供の将来を考えると不安になることも多いでしょう。とはいえ、一番もどかしく思っているのは不登校となっている子供本人ではないでしょうか。その子供の気持ち、体を救うことが出来る可能性がある漢方薬の服用をぜひ一度考えて頂きたいと思います。
(参考資料;文部科学省 平成24年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果について)