子供の暴力。学校や幼稚園で友達にすぐに手を挙げてしまう子供や、いわゆる家庭内暴力として親に暴力をふるう子、兄弟に手出しすることが多い子など、様々なケースがあると思います。
親としては「こんなに愛情を注いでいるのに、なぜ?」「普段は優しい子なのに」と悩んでしまうことも多いのではないでしょうか。反抗期とは違い、暴力は相手をケガさせてしまう可能性があるため、しっかりと対応しなければなりません。
原則として子供が暴力をふるう要因は、その子にあると考えます。親というのは誰しも初めての経験ですから「自分が悪いのでは」と思ってしまうことも多いと思いますが、環境的要因ももちろん影響はあるとしても、基本的にはその子の問題です。その子供の気持ちを整えてあげることをまず第一に考えてみると良いのではないでしょうか。
とはいえ暴力は深刻な問題を引き起こすこともありますから、しかるべき場所に相談するということをまず優先して考えましょう。やはりこのような問題はプロの助言が一番的確と思います。
そのうえで、子供の心身を整えるために漢方薬を使っていくことも手であると感じます。しかし一口に子供の暴力と言っても、小学校低学年ぐらいの子から、中学生ぐらいの思春期の子まで、そして暴力をふるう状況も千差万別。そして子供の体質もそれぞれです。よって、漢方の対策もケースバイケースですが、大まかに分けて暴力をふるう原因は二つに分けられると感じます。
まず一つ目は、漢方で云う「肝火上炎」と呼ばれるタイプ。簡単に言えば、頭に血が上ってつい手が出てしまうタイプです。このタイプの子は暑がりであったり、口が乾きやすいなどの特徴を持つことが多いでしょう。やはり普段からイライラしやすいと思います。
この場合には「火」が上部に昇ってしまいやすいので、「火」を鎮める漢方薬を使っていくと、落ち着きが出てくると考えます。
例を挙げれば精神不安に用いる「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」などの漢方薬があります。
二つ目は「心神不安」と呼ばれるタイプです。このタイプの子供は不安感を抱え、自分に自信がないために、自己防衛のために暴力で身を守ろうとしていると思われます。どちらかというといつもはおとなしいことが多く、睡眠が安定しない傾向があるかもしれません。
この場合には「心神」を安定させることに依り、自己が落ち着き、暴力も減っていくと考えられます。
具体的には不眠にも用いる「天王補心丹(てんのうほしんたん)」などが候補となります。
今回はこのように大きく二つに分けてみましたが、前述したように状況によって対処法は多岐にわたります。信頼できる漢方の専門家にぜひ話を聞いて、服用するお薬を決めていけるといいですね。
暴力は周りも親も、そして自分も苦しくなる行為です。漢方がその苦しみを取り除くための一つの方法となれば嬉しく思います。
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