子供の寝汗は病気とは言えなくとも、お父さんお母さんを悩ます症状の一つです。まず第一に夜中のシャツの交換や、朝起きてびしょびしょの下着やパジャマの処理、場合によってはシーツも取り替えなければならないという、手間がかかってしまうこと。忙しいお父さんお母さんが多いなか、毎日の苦労は想像に難くありません。そして概して寝汗をかいて冷えると風邪を引きやすくなること。風邪を引くともちろん本人も辛いですが、お父さんお母さんも仕事や家事のやりくりが大変です。
このように直接体に害はなさそうな寝汗であっても、大きな問題となってきます。
しかし医学的に寝汗を止めるような方法はありません。もちろん病院で相談をするような機会もなく、毎日何とかしのいでいるケースが多いのではないでしょうか。
一方で中医学では寝汗を「盗汗」といい、それが生じるメカニズムを説明することが出来、対処方法も明確にされています。困っている方は中医学での対策をぜひ考えてみて下さい。なお昼間の汗は「自汗」と云い、「盗汗」とは原因も異なり、区別されています。
寝汗、すなわち「盗汗」は、大人でも子供でも対処は大きくは変わらず、一般的に「陰虚」と呼ばれる体質によって起こると考えます。「陰虚」とは体を冷ます「陰分」の不足であり、「虚火」と呼ばれる”熱”が生じ、体内の津液(体に必要な水分)を押し出すことによって汗が出るとされます。特に夕方から夜は、「陰」の時間帯であり、「陰虚」症状が発生しやすいのです。
このタイプであると、手や足のほてり、微熱、口の渇き、便秘などの症状が起こりやすくなります。
対処方法は「陰」を補うこと。子供は「陰」が不足気味のことが多く、「六味地黄丸」をベースとした「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」などの漢方薬で、「陰」を補充すると症状が軽減すると考えます。
とはいえ、「陰虚」だけでなく、他の症状が絡んでいるケースも多く、対処方法は一つではありません。例えば、風邪を引きやすく、昼間も汗をかきやすいタイプは、エネルギー不足である「気虚」も存在している可能性があり、この場合は「気」を補う「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」又は「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」が必要です。
寝汗をかくと知らず知らずに体が消耗し、後々影響が出ることも考えられます。寝汗を軽視せず、しっかりと体質判断をしたうえで、適切な漢方薬で対処してみて下さい。