犬や猫はわが子同然、すくすくと成長する姿を見るのは何より嬉しいものです。しかし、他の子より大きくなるのが遅かったり、非常に小柄なままで推移する犬や猫も見受けられます。飼い主としては、やはり大きな心配の種となります。
犬や猫の発育不良の要因としては、回虫などの寄生虫感染が知られています。子猫や子犬が感染すると胃腸系にダメージを与え、体重が増えないなどの影響が現れます。また、心臓病などの先天的欠陥の存在も発育不良に関与することがあるとされます。
回虫の場合には駆虫薬で除去できますが、しつこく残る場合もあるようです。定期的に検査を行うと良いでしょう。
しかし、このような要因が見当たらないにも関わらず、発育不良状態となる犬や猫もいます。人間と同様で個体差はありますので、少し成長が遅い場合や、平均より小柄なぐらいであれば心配の必要はありませんが、極端なケースでは漢方での対策を考えても良いかもしれません。
また、やはり体はどっしりとしていた方が生命力も強いものです(太り過ぎはいけませんが…)。人間の目で見て、何となくでも弱々しい感じを受けるようであれば、漢方で力をつけるための工夫をしてみても良いように感じます。
さて、発育不良が認められる場合に、もっとも考えなければならない要因は胃腸系の弱さです。体を作り上げる源は食べ物に他ありません。その食べ物を消化吸収する胃腸系が強くないと、体作りは出来ません。
まずは胃腸系が弱くないか、具体的には食欲、便の状態を観察してお薬も検討します。そして、その状態に合わせて、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などの胃腸系を強くするお薬や、「晶三仙(しょうさんせん)」などの消化吸収を助ける漢方の服用を考えていきます。
その次に、生まれ持った生命力が弱いケースを想定します。中医学で云う「腎」は生命が持つ根本の力を宿している臓とされます。よって、この「腎」が弱い子は、持って生まれたエネルギーが弱いため、発育がなかなか進みません。このような場合には「補腎薬」と呼ばれる、生命力を増す作用を持つ「六味丸(ろくみがん)」や「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」「イーパオ」と云った漢方の服用を検討していきます。
最近は、インブリードなど遺伝的な問題もあるのか「腎」が弱い子が増えているように感じます。体質的な問題は簡単に改善することは見込めないため、根気強く「補腎」を行っていくことが大切です。
ペット(犬、猫)の発育不良
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