はちみつも漢方薬であることをご存知ですか?蜂蜜と書くのは一緒ですが「ほうみつ」と呼び、教科書にも掲載のある生薬の一種です。一般的に食品として用いられているものでも、スイカやあずき、銀杏など生薬として掲載されている食材は多いですが、はちみつはその中でも使用頻度の高いものの一つかと思います。私の子供も食パンにははちみつをつけて食べています。
定義としては「瀉下薬(しゃげやく)」に分類され、お通じを良くする効果が知られます。飲むだけでなく、はちみつを固めて座薬として用いると便秘に良いのですよ。
その他にも「潤肺止咳」と言って、肺を潤し、咳を止める効果を持つとされます。さらには「補中・緩急止痛」作用を持ち、お腹を滋養して、痛みを和らげるために使用します。
はちみつは、基本は身体を温めるわけでもなく、冷ますわけでもない、平性として定義されていますが、生で用いると「清熱」といって炎症を鎮めるような効果が期待でき、火を通すとお腹を温めて解毒にも良いとされます。
この性質を利用して、はちみつを生薬の加工に用いることがあります。「蜜炒(みっしゃ)」と呼ぶのですが、特に咳に用いる場合には、枇杷葉(ビワの葉)や麻黄などの生薬をはちみつで炒めると効能が強くなるとされています。
また、蝋丸と言って、当店でも扱っている「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」などの丸剤は、生薬をはちみつで練って作られています。これは、はちみつに依って成形し、甘味で服用しやすくなることだけを目的としているのではなく、前記の胃腸を補う作用も期待して使われているのです。
このように、はちみつは漢方の世界ではとても重宝されているのですよ。
ただし、咳があっても黄色い痰が出て、胸が詰まって苦しいような時は、潤いをもたらすはちみつは合いません。また、便が泥のような状態の方には向いていないとされます。
そして、菌の問題で、1才未満の乳児には与えない方が良いと言われています。
はちみつやロイヤルゼリーは健康食品として取り上げられていますが、上記のようにどなたにでも合う訳ではありません。ただ極端に量を使うのではなく、特に子供に与える甘味として、とても優れたものであると思います。
最近は甘味と言えば白砂糖ですが、どろっとしていて使いにくい、砂糖より高価というデメリットはあるものの、料理の炒め物などに使うと体にも良いですし、味もまろやかになるのではないかなと思いますよ。
また、漢方薬を服用する際に、お湯に薬を溶かして少しはちみつを混ぜると飲みやすくなります。特に子供にはお勧めの飲み方になりますので、ぜひ試してみて下さいね。
はちみつの力
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