脂肪肝という言葉が認知されるようになったのはいつ頃でしょうか。昔はそれほど使われることのない用語であったような気がしますが、主に欧米的な食事の変化によって、脂肪肝と診断されるケースが増えたようです。なにせ、その名称にはインパクトがありますよね。
手元の資料には脂肪肝とは「肝細胞質内に過剰の脂肪が沈着する病態」と定義されています。アルコール性と非アルコール性に分かれるとのことであり、非アルコール性の場合には肥満や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が原因であることが多いとされます。
脂肪肝はそのまま放置していても特に問題が無いとされていたのですが、10-20%は肝硬変や肝臓がんへと進行するケースがあると報告されてから、治療の必要性が指摘されるようになりました。とはいえ、悪性化する確率はそれほど高くはありません。脂肪肝と診断された場合において、全く対処しないこというのも賛成できませんが、あまりに気にし過ぎる必要もないと思います。
さてアルコール性と診断された場合にはアルコール摂取を控えることは当たり前ですが、どうしても飲む機会が多い方もいるのではないでしょうか。また肥満との関連性を指摘されることもあるかもしれませんが、生活習慣を変えることはなかなか難しいかもしれません。
さらには特に不摂生をしていないのに脂肪肝と診断されることもあります。栄養不足でも脂肪肝は起こるとされますので、診断されて病名とのギャップに驚くケースもあるのではないでしょうか。
病院の治療方法として確立されたものはないことから、高脂血症の治療薬などの服用を指示されることもあれば、生活習慣改善を勧められて様子を見るという場合もあるでしょう。しかし何も症状が無い状態ではなかなか長続きしないものです。そのような場合には漢方薬での対処を考えてみても良いと思います。
脂肪肝を漢方的に考えてみた場合、やはり「肝」のケアを考えなくてはならないでしょう。漢方での「肝」と医学的な「肝臓」はイコールではありませんが、関連性は無視できません。
そして、脂肪と言えば体内の不要物であり、こちらは漢方的に「痰湿」と呼ばれる塊の存在を考えます。
結果として、「肝」のケアをしながら「痰湿」除去のできる処方を優先的に考えながら、体質判断をした上で適する漢方薬を決めていきます。具体的には「インチン五苓散(いんちんごれいさん)」や「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」などのお薬が候補になると思います。また、肝炎対策でも有名な「田七人参(でんしちにんじん)」も候補となるでしょう。
しかしながら、前述のように栄養不良、すなわち胃腸系が弱いために起こる脂肪肝もあるように、原因は様々です。明確な症状はなくとも、細かな体質から最適な漢方薬を探ることが一番です。「脂肪肝にはこの漢方!」というような決まり文句には惑わされず、自分に合った漢方薬を服用して、キレイな肝臓を目指したいものですね。
(参考資料;今日の治療方針(医学書院))
脂肪肝
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