声がかれやすいと一口に言っても、いろいろタイプがあると思います。慢性的に声がかすれているような方から、お酒を飲むと声がかれる方、風邪を引いた後に起こる方、緊張状態がきっかけになる方と様々ではないでしょうか。状況は人それぞれとしても、声が出なくなると仕事や生活に支障をきたします。特にアナウンサーや声優、歌手、俳優などの方はもちろん、電話応対や接客業に至るまで、声が商売道具となっている方は多いため、声がれは切実な悩みとなります。
急性的な声がれは喉の炎症によって起きることが大半であり、いわゆる喉の酷使、感染が要因です。しばらくすると治るケースがほとんどですが、上記のように仕事などで切迫している方は短時間で治さなければなりません。
一方で慢性的に声がかれている方は、声帯等の問題があるのだと思われます。この場合はしわがれ声とでも言うのかもしれませんね。また、声がれを起こしやすいというタイプは、慢性と急性の中間と考えても良いのではないでしょうか。
西洋医学的には抗炎症剤を使ったり、抗生物質を使うケースが多いと思われます。しかしこれらは即効性があまり期待できません。また声がれ予防のために毎日服用する訳にもいかないでしょう。
本来は声がれを起こしてしまった場合には、しばらく声を出さずに安静にすることが第一です。そして声がれ予防としては潤いを保つこと、お酒や刺激物を摂りすぎないことが一般的になると思います。声のプロは保湿機を使ったり、マスクやタオルでの保護など様々な努力をしているという話を耳にします。
とはいえ、そこまでなかなか出来ないという方、対策を取っていても声がれを起こしやすいという方、万一の声がれのためにお薬を常備しておきたいという方などは、ぜひ漢方での対処をお考えください。実は俳優さんや歌手の方でも声のケアのために漢方を愛用している方は多いようですよ。
さて具体的な漢方の対処としては「肺」のケアが原則となります。「肺」は呼吸器系を担う臓ですから、この部分を労わっていくことが声がれの予防にもなり、治療にも関係してきます。その中でも「陰」すなわち潤いを保つことが大事な点になってきます。
よって「肺陰」を補う漢方薬である「八仙丸(はっせんがん)」や「百潤露(ひゃくじゅんろ)」、「潤肺糖奬(じゅんぱいとうしょう)」などが良く使われることになります。また粘膜の強化を考えるようであれば「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」の選択も考えられます。これらはどちらかといえば声がれの予防に役立ちます。
一方で声がれを起こしてしまった場合はどうでしょう。この場合には「炎症」が存在しますので、”熱”を除く漢方が必要となってきます。「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」「桔梗石膏(ききょうせっこう)」などが役立つことでしょう。
また「響声破笛丸(きょうせいはてきがん)」という漢方薬があり、しわがれ声に効果があると認められていて、愛用者も多いようです。
さらには緊張で声がれを起こしやすいという方も、原則として「陰」が不足しているように感じます。動悸がして、ノドが渇き…といった症状も重なるようであれば、気持ちを落ち着かせる効果もある「天王補心丹(てんのうほしんたん)」「牛黄清心丸(ごおうせいしんがん)」というお薬なども考えられます。
ちなみに生薬でも使われる「百合(びゃくごう)」はユリの根です。たくさん食べれるものではありませんが、声がれに良い食材として覚えておいても良いかもしれませんね。その他食材の中ではミントやゴボウなども良いと思います。
声がれ対策は、体全体のケアにもつながります。ぜひ皆様の体質に適した漢方を専門家と相談して選んでみて下さいね。
声がれ
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