不妊と漢方4.jpg漢方で不妊を治療する場合の原則は、その方の体質を見極めて、適切なお薬を選択するということです。「これを飲んだら妊娠する」という漢方薬は存在しません。人間の体は千差万別。それに対するお薬も千差万別であって当然です。
ですから漢方の診立てを正確に行うことが重要であり、「黄体機能不全があるからこの薬」「精子の運動率が悪いからこれを」というように服用する薬を決めることは避けるべきでしょう。もちろんそれで上手くいく場合もありますが、成功の確率は下がります。
とはいえ、漢方薬で不妊症に”結果的”に良く使われる、というお薬は存在します。今回はそのお薬について簡単に触れていきましょう。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
病院で処方される婦人科系の漢方薬の代表が「当帰芍薬散」です。漢方でいう「血の不足」や「血の巡りが悪い」時に用いられます。穏やかなお薬で、使い勝手も良いのですが、今一歩力が弱い面もあるように感じます。
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
当帰芍薬散にも含まれている「当帰」を主成分としたお薬で、病院では手に入らず、薬局での販売のみとなります。「当帰」の配合量が非常に多いため、「血の補充」効果に優れ、子宮内膜の質の改善、ホルモンバランスの調整にも有効とされます。「当帰芍薬散」より、しっかりとした効果が期待できます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
病院で処方されるお薬で、「血の巡り改善」に用いられます。しかし、血行を良くする生薬はそれほど多くは配合されておらず、その力はそれほど強くはありません。子宮筋腫や子宮内膜症に使われることも多いようです。
冠元顆粒(かんげんかりゅう)
「丹参」を主成分としたお薬で、薬局でしか販売されていません。「血の巡り」を改善する効果に優れていますので、様々な状況で応用されます。例えば子宮筋腫や子宮内膜症はもちろん、排卵障害や生理痛にも用いられます。
とりあえず4種類だけ挙げさせて頂きましたが、良く使われるお薬だけでもまだ10種類以上あります。この中から一番最適なお薬を選択する必要があるのです。
また最近中国で盛んに行われている治療が、生理周期に合わせて漢方薬を飲み分ける方法です。日本では「周期療法」と呼ばれることもあるこの方法は、妊娠の確率をアップさせることは間違いありません。女性の体は低温期と高温期で別の体質となりますから、非常に理にかなった方法と言えるでしょう。
ただし周期によって飲み分けることが面倒であったり、予算がかかったりとデメリットもあります。また周期療法に入る前に、根本から体調を整える必要がある方もいらっしゃいます。
周期療法についてはまた詳しくご紹介したいと思いますが、いずれにせよ良く専門家と相談して方針を決められるといいですね。