卵巣のう腫は卵巣に液状の物質が溜まる(のう胞)ことによって出来た良性の腫瘍です。卵巣のう腫という呼び方は医学的にはあまりしないようで、卵巣腫瘍の一種とされます。大きくなると下腹部が膨れてくるなどの違和感が生じるのですが、自覚症状は腹痛程度のことも多く、不妊検査で超音波で観察することによって初めて発見されることも多いようです。
悪性の卵巣癌は閉経後に生じることが多いため、不妊検査で発見される卵巣の腫瘍はほとんどが良性の卵巣のう腫となります。また超音波検査である程度の良性と悪性の判別は可能であるため、卵巣のう腫と診断されても慌てる必要はないでしょう。内部は液体成分であるため、小さくなったり大きくなったり変化しやすいケースもあるようです。
卵巣のう腫は原因が不明の疾患です。よって西洋医学での対処は手術が基本になります。目安としては5cm以上ですと手術を勧められるケースも多いでしょう。
問題は不妊との関係ですが、卵巣のう腫により卵管や卵巣への癒着、卵管采の不具合などが起こり、排卵がスムーズに行われないといったケースが想定されます。しかし絶対に妊娠が出来ないとも言い切れません。また、卵巣は2つあるため、もし片方に不具合があっても妊娠できる可能性はあると考えられます。よって卵巣のう腫が小さいうちは様子を見るという選択肢をしても良いのではないでしょうか。
また手術してのう腫を取ってしまえばもう大丈夫、という訳でもないように感じます。卵巣のう腫が生じてしまった体質を変えていくことは、赤ちゃんが授かりやすいカラダ作りのためにも必要ではないでしょうか。
西洋医学では原因不明であっても漢方的な考え方からは卵巣のう腫の体質的な原因が規定されています。その体質要因に対処していくことが、卵巣のう腫のみならず、その他の症状に対しても有効になる可能性があります。
具体的には、「気滞」と呼ばれる「気」すなわちエネルギーの停滞と、「お血」という血行不良状態、さらには「痰濁」と呼ぶ余分な水分の停滞など絡み合って生じているケースが多いようです。これらのどの部分がもっとも深刻であるかを見極めて漢方薬の適用を考えていきます。上手く漢方薬を使用すると卵巣のう腫が小さくなっていくという例がたびたび見られます。
実際には「開気丸」「水快宝」「シベリア霊芝」「温胆湯」などに中から選択していくことが多いでしょう。
一般的に卵巣のう腫の方の体質を一口でいえば、”巡りが悪い”と言えるかもしれません。ストレスをためずにリラックスに努めながら、定期的に体を動かすことを習慣とすることも不妊解消への条件となるのではないでしょうか。
卵巣のう腫と不妊の関係
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