LUFとは黄体化未破裂卵胞のことを言います。その名称通り、卵胞が成熟したものの、破裂(排卵)せずに黄体化してしまった状態を指します。
一般的に卵胞は生理から低温期に段々と成長して20mm前後になると破裂して排卵します。そして、その卵胞の残りが黄体という組織に変化して、ホルモンを出します。このホルモンが黄体ホルモンで、基礎体温を上昇させるとされます。
よってLUFでは、排卵が起こっていないのに基礎体温は上昇すると言う現象が起こってしまうのです。基礎体温が2層だから100%排卵しているとは言えない理由がここにあります。
しかしLUFは不妊とは言えないような方であっても起こり得る現象とされ、決して珍しい症状ではありません。エコーで排卵前と排卵後の状態を経過観察し、基礎体温が上昇した後も排卵前と同様の黒く丸いものが残っていたとすれば、初めてLUFと診断されます。LUFであれば、排卵していないのですから、もちろん妊娠は出来ません。よってLUFが毎回のように起きるようであれば問題となりますが、1、2回起きただけでは心配いりません。
ちなみにLUFの場合も排卵検査薬は陽性になります。また、多嚢胞性卵巣症候群や高プロラクチン血しょうの方にも起き、月経周期が短い方も要注意です。
なおLUFが起きる原因は分かっていませんが、子宮内膜症が絡んでいる場合やホルモンバランスの乱れが関係しているケースなどがあります。また排卵誘発剤の使用で起きることもあるとされます。
病院での対処方法としてはピルを飲んで残った卵胞を掃除したり、エストロゲンの使用、穿刺による直接的なリセットなど、様々な方法が考えられます。もちろん体外受精も選択肢になりますが、卵胞の未発達が存在すると考えられますから、その前に卵の質を高めることを念頭に置かなければならないでしょう。
さて、漢方的にLUFに対処するにはどうすれば良いでしょうか。考えられる要因は大きく分けて三つあると考えています。
1)「痰湿」の影響
「痰湿」とは漢方でいう余分な水分のことであり、この存在が卵胞の周りを固くさせてしまい、排卵障害を起こすと考えます。よって「痰湿」を取り除く漢方である「温胆湯(うんたんとう)」や「シベリア霊芝」を考えます。
2)「腎」の力不足
「腎」とは生殖力のこと。その不足のために卵の発育が未発達になり、LUFを引き起こすと考えます。このタイプは生理周期が短くなることが多いでしょう(生理10日目前後で排卵する)。よって「腎」を補う漢方として「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」や「二至丹(にしたん)」などを服用します。
3)巡りが悪い場合
排卵は、巡りが悪いとスムーズに進みません。中医学でも排卵期は「気」と「血」の巡りを改善すべき時期と捉えます。その巡りの問題に依ってLUFが起こるケースもあると考えられます。この場合には、「逍遥丸(しょうようがん)」や「水快宝(すいかいほう)」「爽月宝(そうげつほう)」などの巡りを改善する漢方薬を検討します。
いずれにしても体質の見極めが重要となります。LUFはどのような方でも起きている可能性があり、起こったり起こらなかったりすると言うことは、見方を変えれば、体を整えて何かきっかけがつかめれば、改善の可能性があるということです。ぜひ前向きに対策を考えてみて下さいね。
LUFと漢方
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