EDと不妊.jpg男性不妊にも様々なパターンがありますが、男性にとって最も深刻な悩みと言えばED(勃起不全、インポテンツ)でしょう。EDは生殖機能が働かない状況ですから、”男性”そのものを否定された気分になる症状と言えます。そして女性から赤ちゃんを授かるために夫婦生活を望まれている時にEDが起こってしまうことは、要望に応えて上げられないという点で、精神面において男性に大きなショックとなることでしょう。
最近はバイアグラが有名となり、その効果も高いことから利用している男性も多いようです。確かに即効性が期待出来ますので、いざという時に使うという点でのメリットは否定しません。
しかしバイアグラは根本的な問題を解決している訳ではありませんし、心臓への負担がかかることも知られています。何よりも機能が働かないということは体に何かしらの原因があるはずであり、その原因が不妊の要因の一つとなっている可能性は考えられないでしょうか。少なくとも普通に性機能が活動していない状態で作られた精子は100%の状態とは言えないはずです。バイアグラを使用しての夫婦生活で妊娠の確立が下がるという話は聞いたことがありませんが、重症のEDの方や、時間が本当に無い方以外は、ぜひ根本的な解決も目指して欲しいと思います。
さて漢方的に見たEDですが、何種類かのタイプに分けられると考えます。
もっとも多いタイプが「腎虚」体質で、いうなれば生殖力が低下した状態を指します。年齢と共に性機能が衰えることは当然ですが、それが早く進んだ状態とも言え、下記のような原因が考えられるとされます。
● 先天的に「腎」が弱い(生まれもって生殖力が弱い)
● マスターベーションの過多で「腎」が消耗
● 性生活の過多による「腎」の消耗
この「腎虚」タイプの方の特徴としては「冷え」を感じやすく、顔は白っぽくなり、腰がだるくなったり、抜け毛や耳鳴りなどの症状がでることが多くなる点です。いわゆる老化現象が進んでしまった状態です。何とか射精した場合でも精子は薄く冷たくなることが多いため、妊娠しやすい状態とはならないでしょう。
よって、このような時には「腎」を補い温める漢方薬を服用すべきです。代表的な処方は「八味地黄丸(はちみじおうがん)」ですが、動物性の生薬が入った「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」や「至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)」の方がより効果が高いでしょう。
その次に多いと考えられるのが「気血両虚」タイプであり、「気」すなわちエネルギーや「血」が不足した状態です。こちら胃腸機能の低下が原因のことが多く、食物から十分な「気血」が生み出せないために起こってしまいます。強い疲労感を感じるとともに、顔色は黄色っぽく変化し、不安や不眠を伴うことも多いとされます。
原因としてはストレスが多く、また生まれつきの胃腸の弱さが要因のこともあります。このタイプも精子の運動率の低下などが予想されるため、不妊と無関係ではないと思われます。
この「気血両虚」タイプの方は、「気血」を補う処方を服用すると良いでしょう。代表処方は「帰脾湯(きひとう)」ですが「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」なども考えられると思います。
他にもEDの原因としては、イライラタイプや、お酒の飲み過ぎタイプなども存在します。タイプの見極めは簡単ではないため一度は漢方の専門家に診てもらいましょう。しかし、いずれにせよED以外に症状が無くとも、体が万全の状態とは言えないことを自覚することが大切です。
漢方でもEDの根本的な解決は簡単ではないとされています。しかし、睡眠不足、ストレス過多、食事の偏りなどに注意するとともに、漢方を服用して身体の回復に努めてみましょう。きっと不妊対策にもつながりますし、「身体の調子が良い」と感じるようになると思いますよ。