生理不順と不妊.jpg生理不順とは一般的に生理の周期が月ごとに変化する状態を指します。とは言っても定義はあいまいで、28日周期が多い人が、29日、30日の周期がたまにあっても生理不順とまでは言いませんよね。私の経験では、ずれても1日という非常に一定の方もいれば、ひどいと2カ月、3カ月遅れるという方もいらっしゃいます。感覚的には、周期が何日と明確に答えられない場合は生理不順の予備軍で、前後10日間ぐらいの範囲(例えば25日~35日周期)になってしまう方は生理不順と言えるでしょう。
理想的な生理周期は28日で、一月に一度の生理を基準にすべきと思います。しかしながら婦人科的には正常な生理は25から35日の周期とされます。よって、この範囲の数字で毎回安定しているのであれば、それは異常な訳では無く、その方のリズムと言えるでしょう。
逆に25日周期もあれば、35日周期もある…ということであれば、それは範囲内であってもやや問題があると考えられます。
生理周期が不安定であると様々なデメリットが生じます。生活面でも予定が組みづらくなりますし、特に妊娠を考える場合には、タイミングの時期のずれが気になって来ます。
西洋医学的に考えても、周期がずれるということは排卵がスムーズでない、卵子の質が悪い、卵巣機能の低下など不妊につながる問題が潜んでいる可能性が高くなります。基本的にはホルモンが理想通りと言いますか、予定通りに分泌されていない訳ですから、何かしらの問題があることは間違いなく、それは不妊との関連性が否定できないということになります。
しかしながら私の印象としては、生理不順があってもすぐに授かる方も多く、生理不順=不妊ではないことは間違いありません。タイミングの問題にしても、ある程度の夫婦生活があるカップルであれば、排卵日を気にせずに自然に任せればいいわけで、それほど悩む必要はないでしょう。
とはいえ、やはり理想は安定した生理周期。不順な方はその改善を目標にして、漢方的な体作りをしてみましょう。
さて、中医学的に考える生理不順の原因としては、「気滞」と呼ばれるエネルギーの巡りの悪さをまず考えます。「気滞」は身体も心も不安定にする要素です。特にストレスが原因で起こることが多い病態です。これは西洋医学的に見た生理不順の理由である、ホルモンバランスの異常が、視床下部(脳)へのストレスに起因するという考え方と一致します。
よって身体も心もリラックスした環境となり、「気滞」が解消されれば生理不順も改善すると考えられるのです。
具体的には「逍遥丸(しょうようがん)」という「気滞」改善の専門薬が良く使われます。
さらには「気」「血」「腎」などの虚(不足)も生理不順の原因になると考えます。特に「腎」は生殖力を担う部分ですが、ここが弱いと卵子の発育が遅くなりがちになるはずですし、卵巣のホルモン分泌にも影響を与え、周期も安定しないと考えます。よってこれらを補う漢方薬も改善の一助となるでしょう。
具体的には「参茸補血丸(さんじょうほけつがん)」や「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」などです。
生理不順は長い間放置すると、それこそ不妊の原因になってきます。15歳ぐらいから生理は安定してきます。しばらくしても不安定な場合には、将来を考えて、ぜひ早めに対応を考えましょう。