「お血(瘀血:おけつ)」とは、いわゆる血液ドロドロ、血行不良の状態を指す中医学用語です。最近は雑誌などのメディアでも耳にすることが多い言葉になってきましたね。
「お血」は心筋梗塞や脳卒中などの血管病以外でも、がんや各種痛みなど、万病の原因となることは理解できると思いますが、不妊に対しても大きな影響がある体質と考えます。赤ちゃんが育つ子宮は、漢方の世界では「血海」と呼ばれ、「血」が主体となって出来ています。その「血」がドロドロ状態では妊娠しにくくなるのも至極当然ですよね。
具体的な「お血」の症状としては、頭痛や肩こりのほか、冷え症やしびれ、痛みなどが挙げられます。そして子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫など婦人科の病気も「お血」が絡んでいると考えられますし、いわゆる生理痛や目の下のクマ、静脈瘤なども「お血」が原因とされます。
一般的に「お血」は加齢とともに進みます。さらには出産後の体のケア不足も「お血」を引き起こす要因となります。よって、何ら症状がない方であっても赤ちゃんが出来にくい場合には、「お血」がある可能性を探ってみてもいいかもしれません。
ご自身が「お血」かどうか確かめる指標としては、舌を見るという方法があります。色が紫で暗いような色であったり、シミのような斑点がある場合には「お血」の可能性が大です。また、太ももの付け根やおへその下辺りが固くなっている場合にも「お血」が存在すると思われます。
その他、上記で示した「お血」に特徴的な症状の有無と合わせて、体質を判断します。
よって、不妊対策として「お血」ケアをすべきことは間違いないのですが、具体的にはどのようにすればよいのでしょうか。
「お血」が生じる要因の第一は運動不足です。現代生活では特に運動量が少なくなりがちですし、妊娠を望んでいる方はさらに安静を重視する傾向がありますが、逆効果と思われます。常日頃から体を動かすことをぜひ心掛けて下さい。
その次にはストレスを発散すること。中医学ではストレスがかかり、「気」の巡りが悪くなると「お血」が進むと考えます。緊張すると手が冷たくなりますよね?これは「お血」が発生している証拠です。不妊治療をしている方は、特にストレスがかかりがちですが、出来る限りリラックスに努めましょう。
最後に、体を冷やさないこと。これは初潮のころから気を付けたい習慣です。高校生の時に体を冷やしてしまったことが一つの原因で不妊となっていると思われる方も見受けられます。温めすぎる必要はありませんが、夏場もクーラーやアイスクリームを避けるなど、冷えには十分注意するといいでしょう。
以上のようなケアをしても「お血」改善には時間がかかります。また「お血」の程度が重い方はどうしても簡単には治りません。そのような場合には漢方薬を使うと良いでしょう。
一つ目は「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」。現状では、「お血」を改善する力にもっとも優れている漢方薬と言ってもよいかもしれません。その他には「血府逐お丸(けっぷちくおがん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが挙げられます。これらのお薬はどれも「お血」を改善する「活血薬」ではありますが、作用が微妙に違います。詳しい判断は専門家に聞くようにしましょう。
また、「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」にも、強くはありませんが「お血」を改善する効果がありますので、穏やかに「お血」対策するには良いお薬です。
「お血」は誰にでも存在する可能性のある病証です。不妊で悩んでいる方はぜひ対策を考えてみて下さいね。
お血と不妊
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