亀鹿仙.jpg中医学の古くからの処方に「亀鹿二仙膠(きろくにせんきょう)」があります。「医方考」という漢方の書物に掲載されている歴史ある処方であり、効能としては「温陽益気」「塡陰補精」の力があるとされます。具体的な症状としては、元気がない、疲れやすい、視力減退、インポテンツ、不妊などとされます。
「亀鹿二仙膠」の成分は亀板と鹿角、枸杞子と人参となります。
亀板は亀の甲羅であり、「腎」の「陰」を補います。「腎」は生命力や生殖力と関係する臓であり、「陰」は潤い冷ますものと定義されますので、やや寒性と考えます。
一方で鹿角は鹿の角であり、「腎」の「陽」を補います。「陽」は温めて活力を生むものですから、鹿角は温性とされます。
この二つは言うなれば相反する作用を持つものですが、人間の体の中で欠かすことのできない「陰」と「陽」を同時に補うことが「精」を強くするために必要と考えるのです。
亀の甲羅や鹿の角と聞くと一歩引いてしまうイメージがあるかもしれませんが、このような動物性の生薬は、植物性の生薬に比べ、力強さを持っているとされます。よって、より強く「精」を補う場合には「亀鹿二仙膠」は非常に有用な処方となるわけです。
さて2015年の2月に発売された「星火亀鹿仙」は、この「亀鹿二仙膠」をもとに作られた商品です。法律上は健康食品に分類されるため、どのような症状に効果があると具体的に記載できませんが、しっかりとした力を持つ、期待が出来る嬉しい製品の登場と言ってよいと思います。
なお、この「亀鹿仙」はスッポンの甲羅である「別甲」も配合されており、人参が西洋人参に変わっているなど、「亀鹿二仙膠」とはやや異なる面もあります。どちらかと言えば「陰」を補うことをメインとした漢方となります。「陰」を補うと言えば、低温期に用いることに依って、卵の質を高めることを期待できそうですね。
とはいえ漢方はやはり体質に合わせて飲むことが肝心です。ぜひ専門家に相談をしてから服用をしてみましょう。
亀はご存知の通り長生きな動物であり、これはすなわち生命力があるからに他なりません。この亀の力を上手に取り入れていきたいものですね。
≪参考資料;中医臨床のための方剤学(医歯薬出版)≫