生理前に感じる胸の張りや痛み。生理が来る前の兆候として、特に気にしていない方も多いかもしれません。しかし妊娠を考えている方にとっては無視することは出来ない症状の一つになります。プロラクチンという催乳に関係するホルモンの数値が高いと排卵に影響すると云われ、このプロラクチンが高いと胸の張りが生じることが多いとされます。
すなわり胸の張りが強い方は、排卵障害が起きる可能性がある、とも言えます。
しかしながら、胸の張りがあるにも関わらず、プロラクチンの値が正常の方もいらっしゃいます。そうなると当然のことながら、医学的には問題なしとされます。確かに胸の張りは本人にしか分かりませんから、客観的に示される値をもとに治療するしかないという側面は理解できます。
とはいえ、やはり症状が出ている以上は体に何かしらの乱れがあると考えられないでしょうか。触ると張りがわかる程度であれば問題ないかもしれませんが、張りが強くて苦しい感じであったり、痛みがあるような場合には、漢方的にはバランスの崩れがあると捉えます。「気滞」と呼ばれる「気」の巡りの停滞の可能性が高く、特に生理前はこの「気滞」症状が顕著に出る時期であると考えます。そして、この「気滞」体質がある方は、排卵障害が起こりやすかったり、ホルモンバランスが不安定になりやすいと言われますので、プロラクチンの数値に関わらず、妊娠しにくい、すなわち不妊となっている可能性があるのです。その他「気滞」体質があると、イライラや落ち込みなど気分の上下が起こりやすかったり、頭痛やのぼせも生じやすいなど、様々な症状と関係します。
よって、妊娠を希望している方はもちろんのこと、そうではない女性も、生理前に胸が張ったり痛んだりする方は対策を取ることをお勧めします。具体的には「気滞」改善の漢方薬である「逍遥丸(しょうようがん)」や、高プロラクチンの際にも使われる「炒り麦芽」などを服用します。
また「気滞」はストレスが原因になりやすいため、日頃からリラックスを心がけ、体を動かすことを意識的に行いましょう。食材としては酢の物や梅干し、柑橘類、春菊、セロリなど、酸っぱいものや香りのよいものがお勧めです。
胸の張りや痛みも体からのシグナルです。「生理前だからしょうがない」ものではありません。体に耳を澄ませて早めに対処できるといいですね。