「閃輝暗点(せんきあんてん)」は視野の真ん中に光り輝く波が現れて広がり、その後その部位が暗くはっきり見えなくなる症状です。片頭痛が起こる前兆症状として知られ、片頭痛のおよそ2割ほどが閃輝暗点が起きたあとに生じるとされます。
ギラギラしたギザギザ模様が急に見えるということで、経験がある方しか分からない症状と思いますが、10―20分程度で収まることがほとんどとはいえ、不快であることは想像に難くありません。

「閃輝暗点」の原因は視覚に関する脳の部位の血管が収縮し、一時的に血液の流れが悪くなることが要因とされます。しかしその症状を直接予防する手立てはなく、あえて挙げれば片頭痛の薬を早めに服用すること。とは言え、片頭痛が起きない方もいらっしゃいますし、突然の症状ですから対策は難しいと言えそうです。やはり予防が出来ればベストであり、そのためには根本的な対策として漢方の服用を検討してみましょう。

中医学で「閃輝暗点」を考えると、まず目の症状であることから「肝」の不調が疑われます。「肝」は自律神経と関係するとされますが、医学的にも「閃輝暗点」はストレスや気圧変化などの自律神経に負担がかかる環境により引き起こされることが多いとされますので、中医学の理論と一致します。
「肝」の漢方も多数ありますが、「閃輝暗点」は睡眠不足が契機となることもあるため、特に目が疲れやすいという方は、滋養して体をほぐす作用もある「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」が合うケースが多いでしょう。

また別の視点で、血管の収縮に関連した症状であることから、「お血」と呼ばれる「血」の流れの滞りが原因となっている可能性もあります。特に頭痛を伴うケースでは「お血」の関与が強く疑われます。この場合は「血」の流れを改善する「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの漢方薬が必要となります。「お血」改善の漢方は体をゆるめる作用を持つことが多いので、その点からも「閃輝暗点」対策になると考えます。

そして、日頃の養生としては、やはり目を使い過ぎないようにすること、睡眠をしっかりとること、過労に気をつけることが大切です。そして、鶏肉や海藻類、貝類など、「肝」を補う食材を多く摂ると良いでしょう。

ただし「閃輝暗点」がある方も体質は人それぞれです。漢方薬を服用する際は必ず専門家にご相談ください。

≪参考HP:いわた脳神経外科クリニック https://cliniciwata.com/medical/darkspots/