女性の婦人科系の悩みと言えば、生理痛など生理時の症状がまず一つ。そして生理前の不調、いわゆる生理前症候群(PMS)が知られます。どちらも生理に関係する症状ですね。生理は女性にとって大きな”変化”の時期ですから不調が起こって当然という面があります。しかし、もう一つの大きな”変化”の時期である排卵期を忘れてはいけません。最近は排卵期の精神的な不調を訴える方が増えているように感じます。
医学的に見ても排卵期のホルモン変化は劇的です。また卵を放出するために、女性の身体は大きなエネルギーを使用しますし、生理時に負けないぐらい、大事な時期とも言えるのではないでしょうか。
妊娠を意識している方以外は排卵の時期を把握していないケースも多いと思われますが、「何となくイライラする」「うつうつとした気分になる」と感じる時期が一か月に一度くらいと思ったら実は排卵期だった、と気づく方もいらっしゃるようです。
このような不調を生じるということは、体のバランスが崩れている証拠です。となればこれは良い排卵が行われているとは言えません。不妊治療中の方は特に大事な排卵期。ベストな状態で排卵が行われるにこしたことはありません。
また妊娠を望んでいない方も、排卵時に不調が起きる状態は健康にとってあまり良くないということを意識し、対策が取れるとよいですね。西洋医学的な対処はピルぐらいしか考えられないため、漢方薬が有力な選択肢となります。
さて漢方的に排卵期は「理気活血」が大事と考えます。「理気」とは「気」すなわちエネルギーの流れをよくすること。「活血」は「血」の流れをスムーズにすることです。排卵は、卵子が卵巣から排出されて卵管を動いていく時期であるとともに、前述したように大きなホルモン変化の時期でもあります。よって”流れ”が大切であると捉えるのです。
逆に言えば”流れ”がもともと悪い方は、排卵時の気持ちの不調が起きやすいとも考えられます。
対策としては「理気活血」の作用をもつ漢方薬である「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」、「理気」作用が主である「逍遥丸(しょうようがん)」などを服用することが考えられます。これらは不妊症の周期調節法でも排卵期によく用いられる漢方薬です。
生理の時も不調で、排卵の時も不調でとなると、大変ですよね。精神的な不調は、体の不調を表しているとも言えます。排卵前後の不調で悩まれている方は、ぜひ漢方での対策を考えてみて下さいね。