排卵期に見られる伸びるオリモノ。いわゆる「ノビオリ」は、女性の身体の状態を表すとても重要な指標です。気にしないと分からないという方も多いと思いますが、赤ちゃんを希望している方、不妊の方はぜひ知っておくべき体の変化です。
もちろんノビオリはあった方が良い状態。ノビオリの正体は「頸管粘液」と呼ばれる、膣内の過酷な環境から精子を守ってくれる大切な物質なのです。オリモノの話は「何か恥ずかしい」と感じる方も多いかもしれませんし、どうしても脇役になりがちなノビオリですが、卵が順調に育ち、女性ホルモンがしっかりと分泌されていることを裏付ける、とても大事なものなのです。
ノビオリは排卵の準備が整った時に分泌されますから、その時にタイミングを取ることで、妊娠の可能性は高まります。最近は排卵検査薬を指標とする方が多いのですが、個人的にはノビオリを目安とした方が良いのかなあと思います。
逆にノビオリが分からないという方は、体のケアをもう少し進めた方が良い証拠とも言えます。その際に頼りになるのが漢方薬です。ノビオリが分からない、少ないという方は、「腎陰」の不足が考えられます。「腎」は生命力、生殖力に関わる臓で、「陰」は潤い成分。この「腎陰」が不足していると卵の成長が不十分であったりするため、ノビオリも出にくくなると考えられます。
よってこのような時は「腎陰」を補う漢方薬である「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」や「星火亀鹿仙(せいかきろくせん)」などの服用を検討することになります。いわゆる低温期にもっとも「腎陰」が必要とされるため、まずはこれらの漢方薬を低温期のみ飲んでみても良いでしょう。
また、「陰血」を補う漢方薬である「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」でノビオリが増えることもあります。
とはいえ、もちろん体質判断が重要であり、体全体を総合的に考えて漢方薬の服用を検討するべきです。服用の際は必ず漢方の専門家に相談をしてみて下さい。
なおノビオリは排卵前を表す重要な指標ですが、基礎体温表とずれたり、高温期に見られたり、よく分からない分泌をすることもあります。体は不思議なもので、教科書通りにいかないことも多々ありますし、個人差も大きいものです。ノビオリを大切な目安としつつ、あまりこだわり過ぎずに自身の身体と向き合ってみましょうね。