皮膚病と漢方3.jpg前回はアトピー性皮膚炎に漢方が有効な場合が多いというお話をしました。今回は具体的にアトピー性皮膚炎が、漢方の理論でどのように考えられているのか、そしてどのような対策を取っていくべきかを記していきます。
一口にアトピー性皮膚炎といっても、その状態は様々です。痒みがひどい点はほぼ共通していますが、ジュクジュクしている場合もあれば乾燥している場合もありますし、赤い炎症の時もあれば、黒っぽい時もあります。その状況と皮膚炎以外に合わせもつ個々の体質を考えた上で、そのタイプを判断します。
また季節によってお薬を使い分けたり、急性期と慢性期で種類や量を調整したりすることもあります。
よってお薬の選択も簡単ではなく、必ず専門家に指導してもらいましょう。そうしなければ良くなるどころか悪化することもあり得ます。
もう一点、アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返します。一度軽快した症状が再度悪くなったからと言ってすぐに薬を止めずに、体質改善を目指して継続していくことが大事です。
では皮膚のタイプ別に主な原因を見ていきます。
1)ジュクジュクしたり、膨らんでいるような赤斑・びらん・滲出液が多いタイプ
このようなアトピー性皮膚炎の場合は、中医学的におもに「湿熱」と捉えます。「湿熱」とは体に余分な水分と熱がこもった状態です。
このタイプは夏場に症状が悪化しやすく、お風呂に入って痒みが増します。
「湿熱」を取り除くために、「瀉火利湿顆粒」などのお薬を用います。
2)慢性的な赤い盛り上がり(丘疹)、皮膚がはがれて赤くなり、痒みが強いタイプ
このようなアトピー性皮膚炎の場合は、中医学的におもに「血熱」と捉えます。「血熱」とは体の内部に熱がこもった状態です。
このタイプは慢性化している場合が多く、根気よくお薬を続けていく必要があるでしょう。
「血熱」を取り除くために、「涼血清営顆粒」などのお薬を用います。
3)ひび割れて、ゴワゴワし、しわのようになる乾燥のタイプ
このようなアトピー性皮膚炎の場合は、中医学的におもに「血燥」と捉えます。「血燥」とは体の内部が乾燥した状態です。
このタイプは乾燥の時期に症状が悪化しやすいのですが、ジュクジュクとカサカサを繰り返すことも多く、お薬の判断も難しくなります。
「血燥」を改善するために、「温清飲」などのお薬を用います。
主なタイプを述べましたが、表面だけでなく隠れた部分を見ることによりそのタイプが変わることもあります。繰り返しますが自己判断せずに、専門家に相談して最も適したお薬を服用して下さいね。