黄色腫と漢方.jpg黄色腫は、主にまぶたや目頭の辺りに黄色い盛り上がり(丘疹)が出来る皮膚病です。目立つ場所に出来るため、当人は非常に気になります。それほど珍しくは無い疾患であるため、家族や周りの方で黄色腫がある方も多いのではないでしょうか。特に加齢と共に患者数が増える傾向があるようで、年配の方に良く見られます。
腫瘍の一種ではありますが、良性で生命に影響を及ぼすことはありません。西洋医学的には高脂血症、すなわちコレステロールや中性脂肪が高い方に頻発するとされます。また目頭だけでなく、ひじやひざに出来る結節性の黄色腫も知られており、こちらは難治性とされます。
ただし、血中のコレステロール値が正常であっても発生する人もいて、詳細な発生原因は分かっていません。
漢方の考え方から黄色腫を見ると”湿”の存在が疑われます。”湿”とは体内の余分な水分のことであり、この”湿”の蓄積が盛り上がりを生みだしていると考えます。
さらには”熱”の存在も示唆されます。黄色という色は、”熱”の特徴の一つであるためです。これら”熱”と”湿”が両方存在することによって黄色腫が発生すると考えられます。
この考え方は高脂血症の方に、黄色腫が起こりやすいという事実とも一致します。高脂血症の方は、脂質が多い状態であり、脂質はすなわち”湿”と”熱”と考えられるためです。しかし逆にいえば、高脂血症ではなくとも、”湿”と”熱”があれば、黄色腫は起こりやすくなると言えそうです。
よって漢方薬としては”湿”と”熱”を同時に取り除く「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」が適する場合が多いでしょう。しかし場合によっては「五涼華(ごりょうか)」や「温胆湯(うんたんとう)」の方が適切な場合もあります。黄色腫だからこの漢方薬、という考えではなく、普段の体質を分析して、服用するお薬を検討しましょう。
なお、高脂血症がある方はその対策も必要となります。漢方薬に関しては上記のようなお薬が、高脂血症にも有効となりますが、やはり食事に依る養生は重要です。特に”湿”と”熱”を生みやすい食材などは避けるようにしましょう。具体的には過度のアルコールや、香辛料、脂の多い食事などになりますが、バランスが良ければ問題はありませんので、あまり神経質になり過ぎず、無理なく続けることが出来るような食生活を心がけてみて下さいね。