ベーチェット病と漢方.jpgベーチェット病は口の中の潰瘍、陰部の潰瘍、眼の症状、皮膚症状を主症状とする原因不明の疾患です。日本の患者数は2万人ほどで年々増加傾向にある病気とのことです。炎症が繰り返し起こり、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に経過します。難病と言えるでしょう。
原因は遺伝子の問題や、免疫異常などが指摘されているそうですが、はっきりとはしていません。そうなると西洋医学的な対処は、対症療法しかありません。ベーチェット病と言っても軽度の方から重度の方までいらっしゃるので、西洋学的対処は症状に依って異なります。基本的には炎症性疾患なので、軽度であれば非ステロイド性抗炎症薬、重度となればステロイドで免疫を抑え、炎症を軽減させます。
なお症状を悪化させる要因として寒冷や気圧変化、ストレスなどが知られているとのことです。
ベッチェット病のような慢性疾患に対し漫然と対症療法を続けるのではなく、根本的な解決の可能性がある漢方薬を検討してみる価値はあるのではないでしょうか。特に皮膚症状に関しては手助けとなるはずです。
さてベーチェット病を漢方的に見てみると、炎症性疾患であることから、”熱”が関与していることは疑う余地がありません。冷え性の方もいるかもしれませんが、局部には必ず”熱”があります。原則として冷ます作用を持つ漢方薬が有用となるでしょう。
その上で局所的に口内炎であれば「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」や「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」など胃腸系のケアをしながら”熱”を冷ます処方、陰部潰瘍であれば「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」などの下半身に作用する処方を用いるなど、部位や程度、体質に合わせて漢方を選択していきます。
またやや長期的に見れば、ストレスとの関連性が高い場合には「柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)」などを服用して身体の巡りを良くしながら皮膚病の軽減に務める場合も想定できますでしょうし、気圧変化にあまりにも弱い場合には「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」などで防御力を高めることが必要となるでしょう。
しかし体質が複雑になっている方も多いため、詳しい診立てが必要です。ぜひ漢方の専門家に一度
いずれにしても、”熱”が発生している方は、冷たいものを摂り過ぎに十分注意すべきです。アイスクリームやビール、炭酸飲料などは出来る限り控えるようにするといいと思います。
(参考文献;今日の治療指針2006【医学書院】)