中耳炎も子供が比較的なりやすい病気の一つです。急性の重症時(高熱、激しい痛み)には抗生物質などによる適切な対処が優先ですが、中耳炎を繰り返す場合や、慢性中耳炎には漢方薬での対処を検討しても良いのではないでしょうか。何度も熱を出して、いつもその場しのぎで対処をしていても根本的解決にはつながりにくいものです。中耳炎になりやすい体質から、なりにくい体質に変えることは漢方であれば可能です。また抗生物質の長期連用は、体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。長い目で見て、体に優しい漢方薬で対処することも一考ではないでしょうか。
なお外耳炎や内耳炎であっても大きく方針には変わりはありません。
さて中耳炎の症状自体を漢方的に見てみますと、急性であれば”風熱邪”の影響であると捉えます。”風”の”邪”は急性的に症状を引き起こし、”熱”の”邪”によって炎症を生じさせます。
よって、これらの”邪気”を追い出す漢方薬を原則として使うことになります。具体的には「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」や「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」、「柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)」などが挙げられ、その症状の程度や状態によって使い分けます。
また、滲出性である場合には上記のお薬に加え、「五行草(ごぎょうそう)」など”湿”を取り除く作用を持つ漢方薬の併用を考えます。プールに通っている子や、2歳ぐらいまでの子はこのタイプであることが多く、比較的飲みやすい「五行草」単独での服用で様子をみるケースも多いでしょう。
以上は中耳炎が実際に起こっている時に使用されるお薬です。一方で、中耳炎になりにくい体づくりにはどのような漢方が良いのでしょう。基本的に中耳炎は外部からの”邪”の侵入で引き起こされる疾患です。医学的には細菌が感染することが原因ですが、これはバリア力(免疫力)の低下によると考えます。
よってバリア力(漢方では”衛気”と呼びます)を強化する漢方薬を服用すればよいのです。
「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」がその代表的な薬であり、その他「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)」などの服用を検討します。
中耳炎も侮ると怖い病気になります。繰り返すということは、体からの”SOS信号”と捉えて、体のバランスを回復することに努めるといいですね。
子供の中耳炎と漢方
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