意外と多い、子供の腎炎。腎臓の病気というと、何となく大人が罹りそうな感じがするため、病院で「腎炎の疑い」などと言われるとドキッとしてしまうお母さんも多いのではないでしょうか。しかし、基本的に急激に病状が悪化したりする病気ではないため、冷静に対応しましょう。特に急性腎炎の場合は、自然治癒するケースがほとんどとされています。
急性腎炎の症状は、血尿とむくみが特徴です。血尿は目視では良く分からないケースもありますが、子供の食欲が落ちて、まぶたが腫れるなどしてしてきたら要注意となります。特に溶連菌感染後に起こることが多く、風邪を引いて治った後、数週間後に前述の症状が出てきたら早めに対策を立てましょう。
とはいえ病院でも投薬は行わず、血圧の管理や食事や水分制限で対処することがほとんどです。安静にしていれば、治る病気と言えるでしょう。
漢方薬を使用するとすれば、「水湿(余分な水分)」を取り、「熱」すなわち炎症を鎮めるお薬を中心に考えます。軽症であれば「五行草茶(ごぎょうそうちゃ)」で十分ですが、「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」や「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」などを検討することもあるでしょう。
一方で慢性腎炎は長引く病気です。学校の検尿で発見されることが多く、血尿やタンパク尿が観察されます。しかし程度の軽重があり、タンパクの量が多かったり、目で確認できるような血尿であれば病院での治療が必要ですが、そうではない場合には経過観察となることも多くなります。
慢性腎炎の子は、食欲が落ちて、体がだるくなったりします。また風邪をひいたり、疲労がたまったりすると血尿が観察されるなどします。これらは漢方的に見れば「気虚(ききょ)」と判断されます。「気」が少ない、いわゆるエネルギー不足の状態ですから、「補気薬」を中心に検討するといいでしょう。特に食事制限でたんぱく質の少ない料理を食べていると、どうしても体がパワー不足になります。そのフォローをする上でも漢方薬の服用を検討すると良いかもしれません。具体的には「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」「六君子湯(りっくんしとう)などが挙げられるでしょう。
ちなみに腎炎というと、漢方で云う「腎」の薬を考える方がいるかもしれませんが、「腎臓」と「腎」は概念が異なります。もちろん「腎」の薬が適するような慢性腎炎の子もいますが、必要としない子もいます。理論に基づくしっかりとした体質判断が非常に重要ですから、必ず漢方薬局などで専門家に相談をしましょう。特に慢性腎炎の場合には、やや長い期間かけて体を整えなければなりませんし、体調が崩れた時には臨機応変に薬を変えていく必要もあります。せっかく服用するのであれば、もっとも体に合った漢方を飲んで下さいね。
子供の腎炎と漢方
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