食欲は健康のバロメーターです。人間でも同じですが、動物にとってはもっと大事。極端に言えば、食欲さえあれば病気が隠れている心配はなく、逆に食欲がなくなった場合には何か病気があるのではないかと疑ってみる必要があるでしょう。
もちろん食べ過ぎや一時的な胃腸疾患などの場合もありますが、下痢など便通異常が見られず、元気がない状態が続く場合はまず動物病院での受診をおススメします。それでも原因がつかめない場合や、病院での診断で対症療法しか残念ながら手がない疾患だとされた場合には漢方薬の服用を検討されると良いでしょう。
どのような難病であれ、食欲があり体力が落ちなければ病気と戦うことが出来、それが回復につながるもっとも重要な手段となります。病気を治すには、最終的に自分の力(免疫力)がカギを握ります。逆にいえば免疫力でしか病気を治せないのです。その免疫力を保つためにも食事でエネルギーを補給することが大事となります。
中医学では食欲不振を”脾”の力が足りない状態と考えます。”脾”とは消化器系統のことを指し、そのエネルギー不足で、胃腸が機能せずに食欲不振を招いていると理解するのです。この状態を「脾気虚」と呼び、その治療としては「補中益気丸(ほちゅうえっきがん)」や「六君子湯(りっくんしとう)」などを用います。これらのお薬は劇的に食欲が改善するケースも多いのですが、やはり漢方的な診立ても大事ですから、一度は漢方に詳しい専門家に相談しましょう。
なお食欲がない犬や猫に薬を服用させるにはどうしたら良いでしょうか。水を飲む場合は粉薬を溶かしてしまう手もありますが、原則としては口から強制的に飲ませることとなります。その場合には錠剤の方が便利となりますので、お薬の選択の際にはご注意ください。また大きい粒だと飲みこまない場合もあります。服用したか、しっかりと確認すると良いと思います。
以上述べましたとおり、食欲は非常に大事な健康のバロメーターですが、体がわざと短期的に食事を拒んでいることもあります。風邪や食中毒のような時ですが、そのような時は無理に食べさせてはいけません。その見極めもしっかりと行うようにしましょう。
ペット(犬、猫)の食欲がない時
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