一昔前「激辛ブーム」がありましたが、今でも辛いものが好きと云う方は多いように思います。真っ赤なスープやラーメン、テーブルの唐辛子を山ほど入れる、一辛、二辛など辛味が選べたり、外食に行くと辛さを競っている店もあるように感じられます。また、日常の食卓でもキムチなどを毎日食べている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、辛いものはダイエットにつながるという話があったり、がんや血管病のリスクを下げるという話が出たり、健康に良いというイメージもあるようです。しかし、辛いものは刺激性がありますし、翌日にお腹をこわしたり、痔が悪化したりという話も聞きます。いったい良いのか悪いのか…。ということで今回は辛味を漢方の世界ではどのように考えるのか、見ていきたいと思います。
中医学の五行説では、辛味は五味の一つとされ、大きく分けて以下の二つの作用があります。
◎発散の作用
◎「気血」を巡らす作用
発散とは「邪気」を追い払うような効果もありますので、風邪の初期に辛いショウガやネギなどを食べるという工夫は、理にかなうものと言えます。また汗を出すことにもつながりますので、ダイエット効果も多少期待できるように考えます。
そして「気血」の流れをスムーズにするということは、血管病のリスクを下げることは言うまでもなく、がん以外の病気予防にもなると考えられます。体をほぐし、リラックスにつながるため、ストレスのかかっている方にもよいと考えられます。
さらに辛味は五臓の「肺」と関係します。「肺」は呼吸器系全般であり、カゼや咳対策には辛味の生薬が用いられます。
このように書いていくと良いことずくめですが、辛味がすべての方に合っているわけではないのです。特に注意してほしいのが「気血」が不足気味の方。体が消耗して疲れているのに、汗をかいて巡らせてしまっては、「気血」が空回り、余計に悪化してしまいます。子どもが辛味をあまり好まず、どちらかというとがっちりした男性は辛味が好きなイメージがありますが、これは辛味の性質が本能的にそうさせているとも言えそうです。
まとめますと、辛味はカゼを引いた時や体力が充実している方には良い作用がありますが、虚弱体質の方には合わないことが多いと言えます。そして何事もバランスであり、どれほど体力が充実している方でも摂り過ぎは逆効果のように感じます。逆に虚弱な方も適量の辛味で発散や巡りの改善をした方が良いという面もあるのです。
このように辛いものは体に良い面もあれば、悪い面もあるという結論になってきます。何事も適量が一番。上手に辛いものを取り入れてみましょう。
辛いものは身体に良いのか悪いのか
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